ホームIMICライブラリMMWR抄訳2015年(Vol.64)グループホームの成人発達障害者におけるA型肝炎のア・・・
2015/02/20Vol. 64 / No. 6
MMWR64(6):148-152
Hepatitis A Outbreak Among Adults with Developmental Disabilities in Group Homes — Michigan, 2013
2013年4月24日にミシガン州南東部の成人発達障害のグループホーム(GH)A(GH-A)において、居住者(症例1)がA型肝炎と診断され、2日後に劇症肝不全のために死亡した。4週間後、GH-Aでさらに1例(症例2)がA型肝炎と診断された。その後3カ月間に州内にある他の4カ所のGHにて6例がA型肝炎と診断された。このため、3つの地域保健所が症例の調査と曝露後予防(PEP)の実施を含む管理に関与した。GH-A居住者のA型肝炎診断後、Oakland County Health Divisionは4月24日に感染源の同定および他の居住者およびスタッフへのA型肝炎ウイルス(HAV)感染予防のための調査を開始した。GH居住者はさまざまなGH外の作業所(WS)でのプログラムに参加しており、GH-Aの症例2は、WS-Aに参加していた。GH-Bでは3例がそれぞれWS-B(症例3)、WS-C(症例5)、WS-D(症例6)に、GH-Cの症例4はWS-Bに参加していた。症例3および4は、症例1および2と以前に接触したことはなかった。GH-A、GH-B、WS-Bに雇用されていた医療従事者(HCW) 1はA型肝炎の予防接種は受けておらず、これら6例と接触があったが症状はなかった。症例7および8はそれぞれWS-EおよびWS-Fに参加しており、他の症例との接触はなかった。しかし、GH-D居住者の2名(1名は症例7と同室)はWS-Bで症例3または4と接触した可能性があり、GH-E居住者の2名はWS-Dで症例6と接触した可能性があった。また、症例8は6月30日~7月12日に他スコラ郡でキャンプに参加していたため、キャンプの他の参加者およびスタッフへの曝露の可能性が保健当局へ通知された。症例8の発症以降は、接触者における新たな発症はなく、原因となる食品は同定されなかった。8例(男性7例、女性1例)の発症時期は4月16日~7月23日で年齢範囲は42~61歳であり、7例からHAV遺伝子型1Aの同一株が検出された。GH5カ所における発病率は16.7~60.0%、HAV予防接種率は、居住者0%、HCWは14%(57人中8人)であった。HCW-1が勤務していたGH-AおよびGH-Bの発病率はではそれぞれ33.3%および60.0%であった。また、HCW-1は居住者のトイレ介助の際、常にグローブを使用していなかった。PEPが必要となった接触者261例のうち、225例(86.2%)では免疫グロブリンの投与またはHAV予防接種(または両方)をしていたことが確認された。今回の事例は小規模なGHでのHAV感染のリスクとアウトブレイへの対応に公衆衛生の医療資源が必要であることを示しており、アウトブレイク予防のために居住者およびスタッフの定期予防接種が重要と考えられる。
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