ホームIMICライブラリMMWR抄訳2014年(Vol.63)アメリカにおけるエボラウイルス病の小集団感染 ― ・・・
2014/11/21Vol. 63 / No. 46
MMWR63(46):1087-1088
Ebola Virus Disease Cluster in the United States — Dallas County, Texas, 2014
2014年9月25日、エボラウイルス病(Ebola)発生地であるリベリアから5日前に帰国した45歳の男性(患者1)が発熱、頭痛、腹痛を訴え、テキサス州ダラス郡にある医療機関の救急外来を受診した。副鼻腔炎が疑われ、男性は治療後に帰宅したが、28日に持続する発熱、腹痛、下痢を来して搬送された。個室にて飛沫・接触感染予防措置をとり、RT-PCR検査の結果、 30日にテキサス州保健局およびCDCによりアメリカ国内での初めてのEbola輸入例と確診された。CDCは患者との接触者の特定および追跡、Ebola疑い患者のトリアージ、検査および感染コントロール手順について見直しを行った。曝露可能性のある接触者として48名が特定された。そのうち17名は入院前の発症時期に居住地にて接触、10名は患者1を搬送後に消毒前の同じ救急車にて搬送された患者、21名は完全な個人防護具(PPE)を装備せずに患者体液に曝露した可能性のある医療従事者(HCW)であった。48名全員が最終接触後21日間の積極的監視下(1日1回の面接および電話による体温および体調の報告)におかれた。患者1は10月8日に死亡した。10月11日に患者1の看護を担当した看護師(患者2)、15日にもう1名の看護師(患者3)が発熱を来し、Ebolaと確診された。患者3は診断前の10月10~13日にオハイオ州を訪れていた。さらに、3名と接触の可能性があるとして計147名のHCWが10月12日から21日間の積極的監視を受けた。CDCは同時に、ダラス地区内の5医療施設におけるEbola確診患者の治療、疑い患者の救急移送方法、遺体の取り扱い、ダラス郡衛生検査所におけるEbola検査能力の確立、HCWに対するPPE使用法の訓練、Ebola患者治療時の感染コントロール手順、Ebola類似症状患者のトリアージユニットの確立に関し、技術的支援を行った。11月7日までに追加例は発生せず、全接触者177名の監視が終了した。本事例は他の自治体におけるEbola発生時の対応例として重要である。
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