ホームIMICライブラリMMWR抄訳2014年(Vol.63)エボラ患者の隔離と管理のための地域ケアセンターの設・・・
2014/11/07Vol. 63 / No. 44
MMWR63(44):1010-1012
Establishment of a Community Care Center for Isolation and Management of Ebola Patients — Bomi County, Liberia, October 2014
2014年10月29日現在で、リベリアでは計6,454例のエボラウイルス病(Ebola)が報告され、2,609例が死亡している。Ebola蔓延と戦うための国家戦略として、リベリアの15郡すべてにEbola治療施設(ETU)の建設が指示されたが、稼働可能な施設は限られており、大半はモンセラード郡内に集中している。このため、さらなるETUが建設されるまで、保健社会福祉省は、Ebola診断試験の結果を待っている患者の隔離、およびETUへの移送を待っているEbolaが確認された患者への基本的治療(経口保水液など)を提供するための地域ケアセンター(CCC)の開設を支援している。CCCはETUよりもベッド数が少なく、ETUがない地域にしばしば位置することから、迅速に十分な数が開設されれば、より多くの人口にEbola関連の健康処置を施すことできる。また、CCCは、食料などの基本的な患者のニーズはCCCスタッフよりも友人および患者の家族から提供されるように設計されているため、必要とされるスタッフの配属はETUよりも少なくてすむ。CCCの創設は地域の防疫官およびNGOにより指導され、この地域密着型のアプローチは、Ebolaの汚名を返上し、病人が家庭にとどまるよりも治療を奨励し、曝露した家族の追跡が容易になる効果がある。2014年3月に、ボミ郡の保健所(BCCHD)はリベリアでのEbola初発例のニュース後に、郡の病院に隣接したEbola患者のための隔離病棟を建設した。この隔離病棟(12床)は、患者をモンセラード郡のETUへ移送できない場合の緊急時対応策の一部として設計された。6月19日にボミ郡で初めてのEbola患者が報告され、直ちにモンセラード郡のETUへ搬送された。さらにEbolaの疑いまたは可能性のある12例が確認され、1例は移送前に死亡した。このうち4例は同じ葬儀に出席した医療関係者間で発症し、感染対策に対する懸念から、7月下旬までに郡病院と全23カ所の診療所が閉鎖された。8月18日にモンセラード郡にあるETUでの受け入れは不可能となり、ボミ郡で再開した隔離病棟にEbolaが疑われる患者が入院した。隔離病棟では、患者はEbolaの疑い、可能性、確定ごとに異なるエリアに割り当てられ、不完全隔壁により分離された。10月9月には元の病棟に隣接してさらに15床の病棟が増設され、両施設ともBCCHD医療関係者および地域の訓練されたEbola生存者により運営された。スタッフはCCCに入る前に個人防護具の訓練を受け、地域住民は患者との直接の接触を禁止された。6月19日以降、ボミ郡ではEbolaの確定:72例、可能性:43例、疑い:62例が報告された。ボミ郡のCCCは現在、近隣の郡のための地域センターとして機能しており、アメリカ国防省により支援されたETUが建設中であるが、BCCHDおよび地域のリーダーは第2のCCCの建設について話し合っている。ETUが稼働後は、CCCは消毒し、エボラウイルスへの曝露が高リスクで緊密な経過観察の必要な人の待機場所およびこれらの人々が発症した場合の対応に使用する予定である。CCCはETUが不足した場合の暫定的な解決法であるが、CCCの地域のエボラウイルス伝播に対する影響を早急に評価する必要がある。CCC内の感染対策の一貫性を促進するために、保健社会福祉省と国際的なパートナーはガイドラインを作成している。このアウトブレイクが何カ月も続く予測であれば、CCCは患者の隔離と医療のための地域の基盤を迅速に開発するために考えられる手段である。
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