ホームIMICライブラリMMWR抄訳2014年(Vol.63)エボラウイルス病の制御 ― リベリア、ファイアスト・・・
2014/10/24Vol. 63 / No. 42
MMWR63(42):959-965
Control of Ebola Virus Disease — Firestone District, Liberia, 2014
2014年3月30日に、リベリアの保健社会福祉省(MOHSW)は、ファイアストン社のゴム農園内での最初のエボラウイルス病(Ebola)患者の発生を防疫官に警告した。患者はファイアストン社の従業員の妻で、2014年の3月~4月にリベリアのEbolaアウトブレイクの中心地であったロファ群でEbolaが確認された家族の看護を行った。2014年4月にファイアストン社の8500人の従業員、扶養家族、周辺の人々間の大規模なアウトブレイクを阻止するために、会社は、1)感染発生管理システムの設立、2) Ebola患者の早期の発見と隔離のための手法の導入、3)標準的なEbola感染制御ガイドラインの順守の強化、4)家または専用施設での自主的な隔離の選択肢をはじめとするEbolaへの曝露に応じて異なる管理レベルの用意により対応した。さらに、ファイアストン社はアウトブレイクの反応の監視、患者の探索、専用ユニットでの症例管理、回復期の患者の地域への復帰のために集合的なチームを結成した。また、会社はEbolaおよび感染防止の方法の地域の認識を高めるために、強固なリスク伝達、予防、社会的動員キャンペーンを実施した。ファイアストン社の経営する病院では、医療関係者(HCW)17例が死後の検査でEbolaが確認された患者2例への高リスクの曝露があったが、Ebola発症は認めず、その後、臨床スクリーニングおよびトリナージ法を確立した。最初の患者の夫および子供は自主的に隔離され、21日間観察されたが、Ebolaは発症しなかった。HCWを含め、ハイリスクの曝露あった場合は、自主的に21日間の隔離への同意が奨励された。周辺地域でEbola 感染が蔓延した時期の8月1日から9月23日までに、ファイアストン社が医療を提供する約80,000人の間でEbola と診断されたのは71例(累積発生率0.09%)で、このうち57例(80%)は検査室で確認され、39例(68%)が死亡した。ファイアストン社は退院した18例の生存者の地域への復帰を準備し、周囲からの非難を最小にするために、生存者復帰プログラムを設立し、地域社会教育により生存者に感染の危険のないことを宣言し、生存を祝福するパーティーを開催した。ファイアストン社の取り組みは地域個体群においてEbolaの蔓延を最小にしたと思われ、HCWへの伝染も予防された。
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