ホームIMICライブラリMMWR抄訳2014年(Vol.63)小児における原因不明の急性神経疾患 ― コロラド州・・・
2014/10/10Vol. 63 / No. 40
MMWR63(40):901-902
Acute Neurologic Illness of Unknown Etiology in Children — Colorado, August–September 2014
2014年9月12日に、CDCはColorado Department of Public Health and Environmentより、Children’s Hospital Coloradoで診察した四肢脱力と脳神経障害(複視、顔面下垂、嚥下障害、構音障害)のいずれかまたは両方を特徴とした急性神経疾患の小児9例の報告を受けた。発症は2014年8月8日~9月15日、患児の年齢中央値は8歳(範囲:1~18歳)であった。全例で感覚レベルは正常であったが、数例にて首以外に背中または四肢の疼痛があった。また、全例で発症3~16日前に、主に上気道症状を伴う発熱症状を認めた。脊髄のMRIを実施した8例中7例で複数の脊髄レベルにわたり灰白皮質のnonenhancing病変を認め、脳のMRIでは9例中7例でnonenhancingの脳幹病変(一般に橋背側)認めた。腰仙骨部分のMRIを実施した5例中2例では、馬尾の腹部神経根のガドリニウム増強があった。8例ではポリオワクチンの定期接種を受けていた。完全な神経学的回復が得られないのは8例であった。炎症または感染過程と一致する軽度から中等度の髄液細胞増加症を8例に認め、脳脊髄液(CSF)のグルコース値は正常、CSF蛋白質は正常または軽度上昇で、ウエストナイルウイルス抗体のエビデンスはなかった。RT-PCR法によるCSFのエンテロウイルス検査は全例で陰性であった。初期の鼻咽頭検体が使用可能であった8例中6例では、RT-PCR法によりライノウイルス/エンテロウイルスが陽性であり、エンテロウイルスD68(EV-D68):4例、ライノウイルスA24:1例、EV-D68以外の未分類型:1例であった。ライノウイルスA24が陽性であった患者はアデノウイルスも陽性であった。単回の直腸綿棒または便検体が得られた8例では、エンテロウイルスは陰性であった。今回の急性神経疾患の集団は、コロラド州を含むアメリカの多くの地域にて重症呼吸器疾患の原因となったEV-D68の検出を背景に起こっているが、EV-D68との関連は調査中である。9月19日に、Colorado Department of Public Health and Environmentは、州内の医師にこの集団の存在を知らせ、同様の症例の報告を要請するHealth Alertを発行し、その結果、さらに1例が報告されている。9月26日に、CDCは症例の同定および報告のためのガイダンスを提供する国内のHealth Advisoryを発行した。医師は、21歳以下の患者が2014年8月1日以降に限局性の手足の脱力を発症し、MRIで主に灰白質に限定した脊髄病変を認めた場合は、州および地域の保健所に報告する必要がある。
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