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MMWR抄訳

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2014/09/12Vol. 63 / No. 36

MMWR63(36):798-799
Severe Respiratory Illness Associated with Enterovirus D68 — Missouri and Illinois, 2014

エンテロウイルスD68に関連した重症呼吸器疾患 ― ミズーリ州およびイリノイ州、2014年

2014年8月19日に、CDCはミズーリ州カンザスシティのChildren’s Mercy Hospitalより、過去の同じ時期と比較して重症の呼吸器疾患が増加しているとの報告を受けた。8月5日~19日に得た鼻咽頭検体の検査では、ライノウイルス/エンテロウイルスの検出が増加していた。また、CDCは8月23日にイリノイ州のシカゴ大学Comer Children’s Hospitalより、カンザスシティと同様の患者が増加しているという報告を受けた。両施設において最近、重度の症状を呈した患者の鼻咽頭検体をCDC のPicornavirus Laboratoryにおいて検査した結果、エンテロウイルスD68(EV-D68)がカンザスシティの22例中19例(男性10例、生後6週~16歳)、シカゴ市の14例中11例(女性9例、生後20カ月~15歳)で検出された。カンザスシティおよびシカゴの症例において、喘息または喘鳴の既往歴があったのは各13例(68%)、8例(73%)、発熱を伴ったのは各5例(26%)、2例(18%)、集中治療室への入院は各19例、10例、二相性陽圧換気が必要であったのは各4例、2例、シカゴの2例では機械的換気が必要であった。EV-D68は主に呼吸器疾患の原因となるが全容は不明であり、分子技術を使用したEV-D68の同定が可能なアメリカの施設数は限られている。EV-D68を含むエンテロウイルス感染に報告義務はないが、検査室でのエンテロウイルスおよびパレコウイルス型の検出はCDCが管理するEnterovirus Surveillance Systemへ自発的に報告されている。1962年にカリフォルニア州で検出されて以来、アメリカでのEV-D68の報告は稀ではあるが、2009~2013年に79件が報告されている。EV-D68に対するワクチンまたは特定の治療法はないため、支持療法となる。医療従事者は、急性または説明のつかない重症呼吸器疾患の原因としてEV-D68の可能性を考慮し、疑わしい患者集団またはアウトブレイクは地域または州の保健局に報告すべきである。

References

  • Oberste MS, Maher K, Schnurr D, et al. Enterovirus 68 is associated with respiratory illness and shares biological features with both the enteroviruses and the rhinoviruses. J Gen Virol 2004;85:2577–84.
  • Schieble JH, Fox VL, Lennette EH. A probable new human picornavirus associated with respiratory disease. Am J Epidemiol 1967;85:297–310.
  • CDC. Clusters of acute respiratory illness associated with human enterovirus 68—Asia, Europe, and United States, 2008–2010. MMWR 2011;60:1301–4.

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