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MMWR抄訳

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2014/02/28Vol. 63 / No. 8

MMWR63(8):169-173
Multiple-Serotype Salmonella Outbreaks in Two State Prisons — Arkansas, August 2012

2つの州立刑務所における複数の血清型サルモネラ感染症のアウトブレイク ― アーカンソー州、2012年8月

2012年8月6日、Arkansas Department of Health (ADH)は州立A刑務所で発生した約260例の下痢のアウトブレイクについて地方新聞から情報を得て、8月7日に調査を開始した。ADHの衛生検査所(ADHPHL)は収容者7名の便検体からサルモネラ菌を分離、Anatum、CerroおよびHeidelbergの3血清型を同定した。8月21日、州立B刑務所は下痢を発症した収容者16名中8名の検体からサルモネラ菌が分離されたとADHに報告した。分離株はADHPHLで血清型Anatumと同定され、パルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)パターンはA刑務所の分離株と同一であった。8月22日、ADHはAおよびB刑務所の収容者それぞれ505名(59%)および440名(27%)と全職員を対象に面接調査を行った。8月2~18日に下痢を自己申告した者を疑い例とし、下痢の有無に関わらず便検体からサルモネラ菌が分離された者に確診例とした。その結果、A刑務所では疑い309例、確診51例、B刑務所では疑い133例、確診85例と確定された。また、厨房で働く収容者は全員が便検体を提出し、さらに19名が確診例となった。原因食品の確定のため、A刑務所で8月2~5日に、B刑務所で8月7~11日に供された食品について症例対象研究を行った結果、A刑務所で8月4日に、B刑務所で8月10日に供されたチキンサラダが最も可能性が高かった。B刑務所ではさらに23食品が疑い例または確診例に関与しており、原因食品は1つに特定されなかった。両刑務所で、原因と考えられる食品が供された日以前に下痢を発症した収容者がそれぞれ2名および3名、厨房で働いており、初期の伝播あるいは食品汚染に関与したと考えられた。ADHPHLは収容者314名の便検体を培養し、うち155検体からサルモネラ菌が分離され、分離株は8血清型、15のPFGEパターンに集約された。15のうち7パターンは両刑務所で共通し、分離株の78%に相当した。31名の便検体からは複数の血清型が分離された。両刑務所の厨房と食堂設備の環境衛生調査の結果、不適切な手洗いや冷凍・冷却・再加熱手順、非衛生的な調理道具・設備、温度記録計の不備、ネズミやゴキブリなど複数の衛生基準違反が指摘された。また、チキンサラダ用の鶏肉は調理後室温で約15時間放置されていたことが聞き取り調査で明らかになった。収容者は食品衛生教育を受けておらず、下痢を発症しても報告せず、厨房業務の除外もなかった。B刑務所はA刑務所を含む州内の他刑務所に鶏卵を供給していた。2013年1月24日にB刑務所の養鶏場から未消毒の生卵を回収し、検査の結果、サルモネラ血清型AdelaideおよびCerroが分離され、PFGEパターンは両刑務所分離株と同一であった。ADHは両刑務所に勧告と食品衛生教育を行い、厨房で働く収容者は毎週便検体を提出、サルモネラ菌、赤痢菌、大腸菌、カンピロバクター菌が2週連続で陰性となるまで厨房業務から除外された。収容者間の感染伝播はアウトブレイクが収束するまで継続し、全身症状のリスクがある場合はシプロフロキサシン治療が推奨された。

References

  • Arkansas State Board of Health. Rules and regulations pertaining to food establishments. Little Rock, AR: Arkansas State Board of Health; 2012. Available at <http://www.healthy.arkansas.gov/aboutadh/rulesregs/foodserviceestablishmentsnew.pdf>.
  • Guerrant RL, Gilder TV, Steiner TS, et al. Practice guidelines for the management of infectious diarrhea. Clin Infect Dis 2001;32:331–51.
  • Greig JD, Lee MB, Harris JE. Review of enteric outbreaks in prisons: effective infection control interventions. Public Health 2011;125:222–8.
  • CDC. Multiple-serotype Salmonella gastroenteritis outbreak after a reception—Connecticut, 2009. MMWR 2010;59:1093–7.
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  • Foley SL, Lynne AM, Nayak R. Salmonella challenges: prevalence in swine and poultry and potential pathogenicity of such isolates. J Anim Sci 2008;86(14 Suppl):E149–68.

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