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MMWR抄訳

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2013/11/08Vol. 62 / No. 44

MMWR62(44):874-876
Multistate Outbreak of Campylobacter jejuni Infections Associated with Undercooked Chicken Livers — Northeastern United States, 2012

加熱調理が不十分な鶏レバーに関連したCampylobacter jejuni感染の複数の州でのアウトブレイク ― アメリカ北東部、2012年

2012年10月に、バーモント州保健局(VDH)は、バーモント州の居住者において検査で確認されたCampylobacter jejuni感染3例の報告を受けた。2012年10月2日に報告されたC. jejuni感染の2例は、SmaIおよびKpnIによるパルスフィールド電気泳動(PFGE)パターンでは区別できなかった。患者1は、バーモント州の家禽施設(施設A)に勤務し、業務には生体および食肉処理された鶏および七面鳥を扱う仕事が含まれていた。9月16日に下痢を伴う疾患が発症した。食品摂取の履歴に特記すべきことはなく、施設の製品は含まれてなかった。患者2は、9月16日に発症し、発症の2日前にバーモント州のレストラン(レストランA)でシャルキュトリ(肉加工品の盛り合わせ)とウサギを使った料理を食べており、シャルキュトリには施設Aで生産された鶏レバーを材料としたムースが含まれていた。患者3は9月20日に発症し、レストランAで同じメニューを患者2の1日後に食べていた。患者3の便検体から分離したC. jejuniのPFGEパターンは、アウトブレイク株と区別できなかった。C. jejuni感染が確認された2日以内にレストランAで食事した客を対象に調査した結果、新たな疑わしい症例は報告されなかった。メニュー項目を統計解析した結果、疾患の相対危険度は鶏レバーのムースを含むシャルキュトリの消費と関連し、鶏レバーを生産する施設Aの従業員からC. jejuniのアウトブレイク株が分離されたことから、鶏レバーに焦点をあてて調査した。食品媒介疾患監視のための全国的な分子サブタイプネットワークのPulseNetでの調査では、2012年6月にアウトブレイク株と区別できないPFGEパターンのC. jejuni感染が発見され(患者4)、患者は発症の数日前にバーモント州の別のレストラン(レストランB)で揚げた鶏レバーを食べていた。レストランBのスタッフから、当時、鶏レバーは施設Aより供給されていたことが明らかになった。その他に、PulseNetでは、2012年4月にニューハンプシャー州(患者5)とニューヨーク州(患者6)の居住者にアウトブレイク株と区別できないPFGEパターンのC. jejuni感染が認められた。患者5はニューハンプシャー州の食料品店で生の鶏レバーを購入し、自宅で自身を含む家族(患者6)のためにミディアム・レアに調理した。患者6例の年齢は19~87歳、女性3例、入院2例で、全例で回復した。VDHがレストランAおよびBを査察した結果、重大な違反は認められず、レストランAの食品取扱者全員の便検体を採取したが、Campylobacterは検出されなかった。両レストランで、施設Aからの新鮮な鶏レバーを使用まで冷凍し、食感を維持するために軽く加熱調理していた。また、患者5が購入した鶏レバーは、施設Aで生産されたことが確認された。施設Aでは、11月9日に鶏レバーの販売を自粛した。U.S. Department of Agriculture’s Food Safety and Inspection Service(USDA-FSIS)が施設Aを査察した結果、食品安全システムは適切に設計されており、鶏レバーの汚染の原因となる可能性がある二次汚染のような外部要因は認めなかった。VDHの研究室では、レストランAの冷凍された鶏レバーから免疫アッセイによりCampylobacterの存在が証明され、施設Aからの新鮮な鶏レバーから直接C. jejuniが検出された。公衆衛生担当官、食品工業のメンバー、消費者は、鶏レバーがしばしばCampylobacterに汚染されていることに留意し、鶏レバーで製造された製品を安全に食べるための唯一の方法は、十分な加熱であることを認識すべきである。

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