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MMWR抄訳

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2013/09/20Vol. 62 / No. 37

MMWR62(37):768-772
Assessing the Risks for Poliovirus Outbreaks in Polio-Free Countries — Africa, 2012–2013

ポリオフリー国におけるポリオウイルスアウトブレイクのリスク評価 ― アフリカ、2012~2013年

WHOアフリカ地域における2003年からの西アフリカ風土性ポリオウイルスの輸入による野生型ポリオウイルス(WPV)アウトブレイク発生により、それまでポリオフリーであった21ヶ国が大陸を横断する形で「WPV輸入ベルト」を形成した。世界ポリオ撲滅イニシアティブ(GPEI)およびWHO地域事務局はポリオフリー国におけるポリオ発生リスク評価を実施し、WPV輸入後あるいはワクチン由来ポリオウイルス循環におけるウイルス伝播遮断およびリスク低減行動計画を策定した。リスク評価は1)集団の免疫レベル[ 12ヶ月未満の乳児を対象とした3価経口ポリオワクチン(OPV)3回接種率と6~59ヶ月の小児に対するOPV接種回数]、2)急性弛緩性麻痺(AFP)サーベイランスの質(非ポリオ性AFP症例報告数が年間15歳未満人口10万人当たり2例以上を達成)、3)その他集団特異的な要因(WPV流行地域からの距離、発生歴、アウトブレイク発生への対応力、遊牧民ほか高リスク集団の存在、社会的不安定性)に基づいて実施した。その結果、「WPV輸入ベルト」21ヶ国のうち、2012年のWPV流行発生国に近接し、社会的に不安定で集団免疫レベルが高リスクとされた10ヶ国が高リスク、集団免疫レベルが不十分な7か国が中リスクと評価された。リスク低減行動計画として1)予防接種活動: 予防的追加接種活動として、2012年には高リスク7/10ヶ国、中リスク6/7ヶ国で全国予防接種日(NID)が、高リスク7/10ヶ国、中リスク3/7ヶ国で地域別予防接種日(SNID)が実施された。2013年には高リスク9/10ヶ国、中リスク全7ヶ国でNIDが、高リスク7/10ヶ国、中リスク2/7ヶ国でSNIDが実施または計画中である。2) AFPサーベイランスの強化: 2012~2013年、高リスク8/10ヶ国、中リスク4/7ヶ国でGPEIの技術スタッフによるAFPサーベイランスレビューが実施された。このような努力にも関わらず、2013年5月に初確認されたポリオアウトブレイクは現在も進行中であり、9月10日時点で計178例(ソマリア163例、ケニア14例、エチオピア1例)の1型WPV症例が報告されている。アフガニスタン、ナイジェリア、パキスタンにおけるWPVアウトブレイクが継続する限り、全ての国にリスクが存在し続けるであろう。

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