ホームIMICライブラリMMWR抄訳2013年(Vol.62)支援の届かない地域におけるポリオの現地調査および予・・・
2013/08/23Vol. 62 / No. 33
MMWR62(33):663-665
Polio Field Census and Vaccination of Underserved Populations — Northern Nigeria, 2012–2013
ナイジェリアは野生株ポリオウイルス(WPV)常在3ヶ国(アフガニスタン、ナイジェリア、パキスタン)の一つである。同国はNational Stop Transmission of Polio (N-STOP)プログラムにより、予防接種率が低くWPVの伝播源となっている北部国境周辺に散在する遊牧民の所在/人口把握と5歳未満の小児への予防接種を実施している。2012年8月~2013年4月に実施した地域支援活動によれば、北部および中央ナイジェリア17州の209地方行政区に40,212集落を数え、そのうち4,631 (11.5%)の集落は、ポリオの補足的予防接種活動(SIA)期間中に一度も予防接種チームの訪問を受けていなかった。これらの集落に5歳未満の小児906,201名が居住しており、そのうち89,609名(9.9%)はSIAチーム未訪問の集落に居住、53,738名(5.9%)はポリオ予防接種を一度も受けていなかった。また、直近6ヶ月間に発症した未報告の急性弛緩性麻痺(AFP) 211例を確認した。2005年にBorno州で実施された遊牧民族Fulaniの集落調査では、小児の99%がポリオを含む定期予防接種を受けていなかった。これらの集落は道路のない地域に散在し、輸送の困難から予防接種の実施が難しく、予防接種率の低い状態のまま遊牧のため季節ごとに移動し、WPVを伝播している可能性がある。ナイジェリアにおけるポリオ根絶のためにはこういった支援の届かないコミュニティにSIAを行き届かせることが重要である。N-STOPでは集落の首長の協力を得てリストを補完し、現地調査ではスマートフォンのGPS機能を利用して集落の所在確認や5歳未満の小児の把握、未報告AFPの確認を行い、ポリオ予防接種を実施している。N-STOPは今後、構築された協力体制と集落リストにより恒常的に予防接種機会を逸失している集落を把握、SIAを実施し、集団免疫力を上げてWPV伝播遮断を目指し、将来的には他の保健衛生上の問題に対応することも期待される。
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