ホームIMICライブラリMMWR抄訳2013年(Vol.62)手製の化学爆弾事件
-15州、2003~20・・・
2013/06/21Vol. 62 / No. 24
MMWR62(24):498-500
Homemade Chemical Bomb Incidents — 15 States, 2003–2011
手製の化学爆弾(HCB)はよく見かける化学薬品から製造され、製造方法はインターネットから入手できる。通常、HCBの材料はソフトドリンクのボトルのような容器内で混合されるが、HCBは化学反応により生成したガスの圧力が容器を破裂させた時に爆発する。HCB爆発の報道量は、これらが稀ではないことを示唆している。アメリカにおけるHCBの関連した事件件数および関連する因子を調査するために、環境有害物質・特定疾病対策庁(ATSDR)は、2003~2011年のHazardous Substances Emergency Events Surveillance(HSEES)システムおよびNational Toxic Substance Incidents Program(NTSIP)のデータを分析した。2003~2011年にHCBの関与した事件は、15州より合計134件(同時期のHSEES/NTSIPの事件数の0.2%)検出された。特にニューヨーク州、ウィスコンシン州、ミネソタ州で全体の事件数の77%を占めた。代表的なケースを挙げると、事件Aでは、高校の用務員は次亜塩素酸カルシウムとその他の薬品をボトル内で混合している生徒を発見し、ボトルをつかんだところ、爆発して塩素ガスが発生した。用務員が体調不良となった他に、生徒12名および学校関係者3名が呼吸器疾患の治療を受け、約1640人が避難した。事件Bでは、2名の成人が塩酸とアルミウムからHCBを作製途中に爆発し、身体的外傷、呼吸器症状、化学熱傷を負い、1名は意識不明を伴った。事件Cでは、男性が戸外におかれていたHCBを拾い上げたところ、突然爆発し、手および胸部に外傷および化学熱傷を負った。134件の事件のうち21件(16%)で、53名に健康に対する悪影響が生じた。負傷者の大半は男性(29例、55%)および若者(35例、66%であった。数名の負傷者が複数箇所の健康に対する悪影響を報告しており(合計62件)、主に呼吸器症状(26件、42%)、火傷(14件、23%)、皮膚刺激(13件、21%)、身体的外傷(6件、10%)であった。負傷者のうち21例(40%)は現場または医療機関での除染が必要であった。これらの事件による死亡は認めなかった。HCB作製に必要な酸、塩基、金属のうち、酸および塩基は主に市販されている家庭用品(硫酸または塩酸を含有したトイレ用洗剤または水酸化ナトリウムを含有した配水管洗浄剤)から調達され、金属は主にアルミニウムが使用された。HCB爆発の大半は学校[1/4マイル以内で発生48件(36%)]、郵便受け、住居の裏庭であり、夏(49件、37%)に多く発生した。HCBは学校などの公共の場所で爆発した場合に特に危険であり、両親、学校関係者、法執行機関において、HCBの潜在的危険性について認識し、HCB発見の際の対応策を把握することが重要である。
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