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MMWR抄訳
2013/06/07Vol. 62 / No. 22
MMWR62(22):433-436
Heat-Related Deaths After an Extreme Heat Event - Four States, 2012, and United States, 1999-2009
猛暑の天候後の暑さに関連した死亡 -4州、2012年およびアメリカ、1999~2009年
2012年6月29日にアメリカでは中西部から東部にかけて強風を伴う強烈な雷雨が駆け抜け、広範囲な被害と停電が生じた。その後、6月30日から7月 13日の間にメリーランド州、オハイオ州、バージニア州、ウェストバージニア州では平年の気温よりも平均で5.3℃上昇、最高気温が28.3~40℃とな り、死亡が32例報告され、停電は少なくても8日間続き、3,800万人に影響した。猛暑の期間に発生した暑さに関連した死亡を疫学的に調査するため、監 察医または人口動態統計の州政府事務所より情報を収集した。比較のために、4州における1999~2009年の同時期2週間の暑さに関連した死亡数を CDCの死亡データを使用して算出した。死亡した32例(人口10万人あたりの死亡:0.11)の内訳は、メリーランド州:12例、バージニア州:12 例、オハイオ州:7例、ウェストバージニア州:1例であった。一方、4州の1999~2009年の同時期2週間の暑さに関連した死亡の中央値は4例(平均 8例)であった。2012年の死亡者の年齢の中央値は65歳(28~89歳)、男性72%で、大半の死亡者(75%)は未婚または独居であった。主な基礎 疾患は、心血管疾患(14例)および慢性呼吸器疾患(4例)であった。少なくても7例(22%)の死亡に暴風雨による停電が寄与していた。全体で、22例 (69%)が自宅で死亡し、20例(90%)ではエアコンが稼動していなかった。家屋形態が特定された7例のうち、6例の死亡は多世帯住居で発生した。屋 外で死亡した3例のうち、2例は車内で死亡した。2012年の猛暑とアメリカの過去20年の停電のない猛暑を比較するためにPubMedで検索した結果、 ペンシルバニア州フィラデルフィア(1993年7月6~16日)、イリノイ州シカゴ(1995年7月10~20日)、アリゾナ州マリコパ郡(2005年 14日間の熱波)でそれぞれ118例、514例、28例(人口10万人あたりの死亡:各7.5、9.7、0.77)の報告があったが、2012年の死亡率 のほうが低かった。これは、4州の公衆衛生および危機管理事務所があらかじめ計画していた熱波への対応を迅速に開始したためと思われる。また、 1999~2009年のアメリカでの暑さに関連した死亡の年間平均は658例/年であり、男性(69%)および65歳以上(36%)で増加した。暑さに関 連した死亡は予防可能であるため、弱者に対する保護に焦点をあてた介入が必要である。
References
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