レジオネラ症はレジオネラ属菌の吸入または誤嚥によって生じる細菌性疾患であり、肺炎を伴うものはレジオネラ肺炎(在郷軍人病)と呼ばれる。レジオネラ属菌は建物の給水系統を汚染すると健康上のリスクとなる可能性がある。2024年11月、アメリカ領ヴァージン諸島の保健局(VIDOH)は、セントクロイ島の異なる2つのホテルに滞在した旅行者に生じたレジオネラ肺炎の確定診断例2例の報告を受けた。VIDOHは曝露源の特定とさらなる症例の予防を目的に調査を実施し、さらに2例のレジオネラ症例が確認された。患者4例は53~73歳で、2例が入院したが死亡例はなかった。ホテルAについては、尿中抗原検査(UAT)で確定した73歳男性(患者1)の症例について、2024年11月6日にCDCがVIDOHに通知した。患者1は10月21日~29日にホテルAの2室に滞在し、10月30日に発熱、息切れ、体の痛み、関節痛、頸部痛、食欲不振、下痢を発症し、帰宅後の居住州で入院し、回復した。患者1の旅行同行者の71歳女性(患者2)は同じ客室に滞在し、11月4日に発熱や体の痛みなどを発症し、抗菌薬で治療されたが検査は受けず、レジオネラ症高度疑い例とされた。ホテルAの環境検体21件のうち3件(14%)からLegionella pneumophilaが検出され、シャワーヘッド、貯水槽、給水配管の冷水(非加熱)系統(水温26.7~30.6°C)からの検体であった。ホテルBについては、セントクロイ島のホテルBに滞在後に居住州の集中治療室に入院した53歳女性(患者3)について、2024年11月22日に一般市民からVIDOHに連絡された。患者3は10月31日~11月9日にホテルBの3つの客室に滞在し、11月7日に胸部圧迫感と呼吸困難を来していた。居住州に帰宅後に入院し、重症敗血症、両側肺炎、急性呼吸不全と診断された。レジオネラ肺炎はUATで確定された。患者3と一緒に旅行した家族の55歳女性(患者4)もレジオネラ肺炎に合致する症状を呈し、L. pneumophilaの血清抗体検査が陽性であったが、抗菌剤治療で回復した。患者3と一緒に旅行した他の家族3名も体調不良を感じたが、UATはいずれも陰性であった。ホテルBの検体40件のうち22件(55%)からL. pneumophilaが検出され、シンク6カ所とシャワー4カ所の検体が含まれ、19件(86%)が血清群1であり、3件(14%)が血清群2~14であった。陽性検体は冷水、温水の混合水栓(水温27.8℃~47.8℃)から得られた。VIDOHはホテルAに対し、患者1および患者2が宿泊した客室の閉鎖と給水系統の改修・再検査を、ホテルBに対しては改修と再検査完了までの全館営業停止を求めた。両ホテルは、配管・器具の交換、系統の高濃度塩素処理、ろ過の評価などの改修を実施し、ホテルAではレジオネラ属菌が検出された貯水槽の恒久的閉鎖も行った。追跡検査でレジオネラ属菌が制御されたことが確認された後、両ホテルとも営業再開が許可された。両ホテルは各アウトブレイク判明前の約4週間に該当客室に滞在した宿泊客にレジオネラ属菌曝露の可能性を通知し、咳、発熱、息切れのモニタリングと発症した際の受診を助言した。VIDOHはアウトブレイク専用ホットラインを設置し、ホテルBのアウトブレイクについてはプレスリリースを発出した。今回の2件のアウトブレイクは、帰国した旅行者のレジオネラ症を報告することが地域の公衆衛生調査と追加症例の予防を促進することを強調している。さらに、熱帯気候では冷水系統もレジオネラ属菌の増殖に適した温度(25~45°C)で稼働するため、効果的な水管理プログラムと給水系統の消毒がレジオネラ症の拡大防止に重要である。
|
Vol. 75 / No. 25
MMWR75(25):322-326
Legionellosis Outbreaks Associated with Two Hotels — U.S. Virgin Islands, October 2024–April 2025