MMWR抄訳

MMWR75(25):315-321

Alpha-gal Immunoglobulin E Seroprevalence Among Blood Donors — 10 States, 2024–2025

献血者におけるα-Gal免疫グロブリンE血清保有率 ― 10州、2024年~2025年

α-Gal症候群(AGS)は新興の非感染性ダニ媒介性疾患であり、赤身(哺乳類)肉、乳製品やゼラチンなどの哺乳類由来製品に含まれるオリゴ糖であるガラクトース-α-1,3-ガラクトース(α-Gal)に対するアレルギー反応を特徴とする。2022年時点で、AGSはアメリカで最大45万人に影響すると推定された。AGSのアナフィラキシー反応は致命的となる可能性があり、アレルギー反応は蕁麻疹、血管性浮腫、喘鳴、消化器症状など多様な症状を来す。AGSは主に食物回避によって管理される。アメリカにおけるAGSの地理的分布は、マダニの一種(Amblyomma americanum)の生息域と密接に関連しており、このダニに咬まれると唾液を介してα-Galが体内に注入され、アレルギーが誘発される。AGSの診断には、臨床的に矛盾しない症状、α-Galに対する血清免疫グロブリンE(IgE)抗体の検出の両方が必要である。臨床症状がなくてもα-Gal特異的IgE抗体を保有している場合もあり、アメリカにおけるα-Gal IgE陽性者の割合は不明である。アメリカ成人におけるα-Gal IgE血清保有率と地理的分布についてさらに理解するため、2024年11月14日~2025年4月9日に10州(アーカンソー州、ケンタッキー州、メイン州、ミネソタ州、ミズーリ州、ニューメキシコ州、サウスカロライナ州、テネシー州、バージニア州、ワシントン州)の献血者から採取した血清3,000検体を検査した。α-Gal IgE抗体の陽性閾値は0.1kU/L以上と定義した。献血者の年齢中央値は62歳(16~95歳)、男性が56.2%、白人が92.9%であった。推定血清中α-Gal IgE保有率は1.1%(ワシントン州)~31.2%(アーカンソー州)であった。過去にAGS疑い症例数が多いと報告された州ほど保有率が高く、推定血清保有率が最も高かったのはアーカンソー州とミズーリ州(26.0%)であった。血清保有率が高い5州(アーカンソー州、ケンタッキー州、ミズーリ州、テネシー州、バージニア州)における推定血清中α-Gal IgE保有率は24.0%であった。推定血清中α-Gal IgE保有率は55~64歳に比べて16~34歳で低く、女性に比べて男性で高く、非ヒスパニック系に比べてヒスパニック系で低く、郡の人口密度と血清保有率は逆相関することが認められた。α-Gal IgE検査のAGSに対する特異度は低く、人口あたりのAGS疑い症例数が最も多い州では16歳以上人口の約24%が陽性となると推定された。患者の臨床症状を考慮せずにIgE検査結果陽性に依拠すると、過剰診断や不必要な食事制限を招くおそれがある。現行の診断法と陽性閾値では、IgE検査はAGSに合致する臨床歴と症状を有する患者に限定して実施すべきであり、AGSサーベイランスの改善にはより特異的な診断法が必要である。献血者の血清保有率データはAGSの影響地域と地理的によく一致しており、サーベイランス、ダニ咬傷予防、医療従事者教育の地理的重点化や、症例の過小診断および過小報告の可能性がある地域の定点サーベイランスがAGS罹患率を改善する可能性がある。

過去の年代の記事はこちら