MMWR抄訳

MMWR75(24):304-310

Emergency Department Visits for Suspected Suicide Attempts — United States, 2021–2025

自殺企図疑いによる救急科受診 ― アメリカ、2021年~2025年

2024年、アメリカでは計48,824人が自殺により死亡し、12歳以上の推定約290万人の自殺企図が報告された。救急科(ED)は、自殺行動の傾向をほぼリアルタイムで追跡できる重要な場である。2019年から2022年にかけて、青少年および若年成人のEDにおける自殺企図疑いによるED受診は顕著に変化したが、26歳以上の成人を含む自殺企図の最近のデータに基づく報告は不足している。今回、National Syndromic Surveillance Programから2021年1月~2025年12月のデータを用い、自殺企図疑いによるED受診を性別および年齢別に評価した。非自殺性の自傷を除外する検証済みの定義を用いて自殺企図疑いによるED受診を特定し、あらゆる理由によるED受診10,000件あたりの自殺企図疑い受診の割合(受診割合)を算出した。2021年1月1日~2025年12月31日、あらゆる理由による受診527,183,306件のうち、自殺企図疑いによるED受診は833,335件特定された(10,000件あたり15.8件)。このうち60.3%が女性、39.5%が男性であった。年齢別では12~17歳が最も多く(207,028件、24.8%)、受診割合も最も高く(10,000件あたり82.2件)、特に女児で高かった(同120.0件)。全体の受診割合は2021年の10,000件あたり16.6件から2025年の15.5件へと7.0%低下した。2021年と比較して2025年の低下が最も大きかったのは女性(10.7%低下)と12~17歳(20.8%低下)であり、12~17歳では男子(8.9%低下)よりも女子(22.3%低下)で低下が大きかった。また、この年齢群では2024年から2025年にかけてわずかな上昇がみられ、11歳以下の小児でも同期間に上昇が認められた。26歳以上では2021年と比較して2022年~2025年に多くの年齢群で受診割合が有意に上昇し、2025年には55~64歳(15.2%上昇)および65歳以上(12.3%上昇)で上昇した。自殺企図は年齢が上がるほど致死的となりやすく、特に65歳以上で顕著である。自殺企図に単一の原因はなく、リスク因子には仕事や経済的な問題、人間関係の喪失、暴力被害などがあり、保護因子には医療へのアクセス、他者とのつながり、効果的な対処・問題解決能力などがある。青少年、特に女子では、COVID-19パンデミックに関連した日常の混乱期に高い孤立感が報告されたが、調査期間の後半に軽減した。対照的に、高齢者では調査期間中に親しい家族や友人など長期的なソーシャルサポートを失った者が偏って多かった。2021年のアメリカ医務総監によるProtecting Youth Mental Healthなどの若者の自殺予防対策も自殺企図減少に役立った可能性がある。自殺企図疑いによるED受診件数は依然として多い。受診割合が高いまたは増加している集団を含め、すべての人における自殺および自殺企図の予防は公衆衛生活動を計画する際に重視するべき事項である。自殺関連データの適時なモニタリング、複数のリスク因子および保護因子への対応による自殺行動を予防、自殺未遂者へのサポートの包括的アプローチが命を救うために極めて重要である。

過去の年代の記事はこちら