ホームIMICライブラリMMWR抄訳2013年(Vol.62)結核コントロールに対するファーストライン抗結核薬の・・・
2013/05/24Vol. 62 / No. 20
MMWR62(20): 398-400
Impact of a Shortage of First-Line Antituberculosis Medication on Tuberculosis Control - United States, 2012-2013
結核は、ほとんどの症例において数種類の薬剤併用レジメンにより6~9ヶ月間治療される。現在、FDAにより10種類の薬剤が承認されており、ファーストラインレジメンの中心はイソニアジド(INH)、リファンピン、エタンブトール、ピラジナミドの4剤である。INHは3社にから供給されていたが、このうち1社において有効成分の獲得が一時的に困難になり、INH 300mg錠の不足が2012年11月に初めてCDCに報告された。CDCでは、結核コントロールプログラムにおいてINH 300mg錠の不足が解決するまで100mg錠の入手を推奨したが、見込まれていた追加販売が実現しなかったため、100mg錠の供給もまた限定されることになった。問題の大きさと結核コントロールプログラムへの影響を評価するために、National Tuberculosis Controllers Association(NTCA)による全国調査が2013年1月に実施された。NTCAは50州の68ヶ所の管轄区域、10の大都市、5準州、3つの自由連合州の保健局に対し、NIHの不足に関連した薬剤の調達や供給、結核治療に関する問題について、インターネットによるアンケート調査を行った。回答があったのは42ヶ所(62%)で、38ヶ所が州の結核プログラム、4ヶ所が大都市であった。このうち33ヶ所(79%)では先月内のINH入手困難を回答し、100mg製剤を入手できたのは60%、INH入手のための供給元変更は69%であった。調査時点で、INHが品切れしたのは15%、1ヶ月以内に品切れが予想されるのは41%であった。在庫不足のために、72%のプログラムで潜伏結核感染(LTBI)の治療を高リスクの患者のみに優先し、他のLTBIレジメン(例、リファンピン4ヶ月)へ変更が88%、LTBI治療の遅延が68%であった。INH供給中断のために、44%がより高価なレジメンに変更し、通常以外の活動(販売店への連絡、保健アラートの発行、プロトコールの修正、電話応対)に従事したのは100%、地域からのINH供給に対する問い合わせの電話に対応したのは82%であった。以上より、INH不足は患者の治療を妨げ、結核伝播の一因となっている可能性がある。INHの不足を軽減し、将来の不足を回避するためには、ファーストライン薬の全国的な供給維持、管轄区域内でのINHの共有、WHO世界抗結核薬基金との連携して外国の製造業者からINHを入手、薬剤供給元の在庫切れのFDAへの報告強化などが挙げられる。
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