ホームIMICライブラリMMWR抄訳2013年(Vol.62)ハリケーンサンディ前後の結核対策-北東部および中部・・・
2013/03/22Vol. 62 / No. 11
MMWR62(11): 206-208
Tuberculosis Control Activities Before and After Hurricane Sandy - Northeast and Mid-Atlantic States, 2012
2012年10月29日にハリケーンサンディがアメリカの北東部および中部大西洋岸を直撃し、暴風雨の影響は南東部および中西部の州とカナダ東部まで拡大した。この時点で、最も被害を受けたエリアには、結核の疾患または感染に対し治療中の患者1,899人が居住していた。CDCは、暴風雨の間およびその後の州および地域の結核プログラムの運営能力を確認し、過去のハリケーンから得た教訓が結核患者の治療の継続に有効であったかを調査するために、被害を受けた全ての州および市の結核対策プログラムのスタッフにインタビューを実施した。インタビューから、ハリケーンサンディの被害を受けたプログラムの結核患者の治療の継続性は、2005年8月のハリケーンカトリーナの最中およびその後よりも、よく保たれたことが判明した。これは、1)ハリケーンカトリーナから災害への準備(暴風雨に先立って患者リストの作成、薬剤投与が必要な患者に対する準備、患者記録のバックアップコピーの作成等)を学んだこと、2)ハリケーンサンディ後の強制退去がハリケーンカトリーナ後よりも範囲が狭かったことが原因と思われる。ハリケーンサンディは、大西洋沿岸を縦断し24州に被害を与えたが、ニュージャージー州およびニューヨークが特に被害が大きかった。最も影響を受けたのは中部および北東部大西洋岸の15プログラムであった。ハリケーンサンディ上陸から1週間以内に、全てのプログラムが運営を再開した。ニュージャージー州、ニューヨーク州、ニューヨーク市を含む10以上のプログラムでは、暴雨風への準備または直接的な被害のため、2日間の閉鎖を行った。ハリケーンサンディによるプログラムのインフラおよび備品の明らかな損傷、および患者への影響は認めなかった。2プログラム以上で、暴風雨に先立って自己投与療法(SAT)のための薬剤を患者に渡したが、これには通常では直接監視下治療(DOT)により投与される薬剤も含まれた。SATに振替えられた患者は、暴風雨が収まってから1週間以内に全員DOTに復帰した。暴風雨後にCDCのDivision of Tuberculosis Elimination (DTBE)のプログラム顧問は被害にあったプログラムを評価したが、DTBEからの特別な支援は必要ないと判断した。最も被害を受けた結核制御の管轄区域では、2012年11月12日までに全ての活動性結核患者の所在が判明しており、適応があればDOTによる結核治療が再開されていた。潜在性結核感染の治療を受けていた患者も全員が掌握され、暴風雨前に治療中であった1,899人全員がその後も治療を継続していた。結核対策プログラムの自然災害に対応するための準備は、公衆衛生および結核患者の治療継続性を維持するために不可欠である。
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