ホームIMICライブラリMMWR抄訳2012年(Vol.61)最新情報:インフルエンザ活性-アメリカ、2011-・・・
2012/06/08Vol. 61 / No. 22
MMWR61(22):414-420
Update: Influenza Activity - United States, 2011-12 Season and Composition of the 2012-13 Influenza Vaccine
アメリカにおける2011-12インフルエンザシーズン(2011年10月2日~2012年5月19日)のインフルエンザ活性の概要と、北半球の2012-13インフルエンザワクチンの組成を報告する。この期間中アメリカでは169,453検体が検査され、22,417検体(13%)がインフルエンザウイルス陽性、このうち19,285検体(86%)がインフルエンザA型、3,132検体(14%)がインフルエンザB型であった。サブタイプを検討したインフルエンザA型14,968株のうち11,002株(74%)がA(H3N2)ウイルス、3,966株(26%)がインフルエンザA(H1N1)pdm09(pH1N1)ウイルスであった。2011年8月以降、6州でpH1N1ウイルスのM遺伝子を有する新たなブタ由来インフルエンザA(H3N2)変異(H3N2v)ウイルスのヒト感染例13例が報告された。このうち3例は入院したが、全例が回復した。13例中6例は最近のブタとの接触歴がなかった。また2011-12シーズン中には2種類の新たなウイルス[インフルエンザA(H1N2)変異(H1N2v)ウイルス、インフルエンザA(H1N1)変異(H1N1v)ウイルス]が各1例より同定された。2011年10月1日以降に分離されたインフルエンザウイルス1,887株について抗原性を検討した結果、pH1N1ウイルス527株中503株(95%)、A(H3N2)ウイルス1,058株中864株(82%)、Bウイルス302株のうちB/Victoria系に属する147株(49%)中139株(95%)は、それぞれ北半球2011-12年インフルエンザワクチン製剤のpH1N1成分(A/California/7/2009様)、A(H3N2)成分(A/Perth/16/2009様)、B成分(B/Brisbane/60/2008様)と関連していた。FDAはアメリカにおける2012-13シーズンの3価インフルエンザワクチン製剤の成分として、A/California/7/2009様(pH1N1)、A/Victoria/361/2011様(H3N2)、B/Wisconsin/1/2010様ウイルスを推奨した。2011-12シーズン中、インフルエンザ様疾患(ILI)による外来受診率は2012年3月17日の週がピークで2.4%(全国基準値)であった。外来受診率が全国基準値を1回も超えなかったシーズンは、ILIサーベイランスネットワークの調査開始(1997-98シーズン)以降初めてであった。ちなみに2008-09/2009年パンデミック/2010-11年シーズンにおける外来受診率のピークは、それぞれ3.6%、7.7%、4.5%であった。インフルエンザ活性の地理的分布は2012年3月17日の週がピークであり、20州が広範囲、20州が地域的なインフルエンザ活性を報告した。FluSurv-NETの報告によると、2011年10月2日~2012年4月28日の累積インフルエンザ関連入院率(10万人あたり)は0~4歳14.2(過去3シーズン:35.5~72.8)、5~17歳4.2(6.4~27.3)、18~49歳4.1(3.6~23.1)、50~64歳8.5(5.1~30.8)、65歳以上30.4(13.5~65.9)であった。2011-12シーズンにおいて肺炎およびインフルエンザ関連死亡率が流行閾値以上であったのは、2012年1月21日の1週(7.9%)のみであった(過去3シーズン:3~13週、7.9~9.1%)。検査確定インフルエンザ関連死小児は26例(平均7.3歳、中央値6.5歳)報告された(2008-09シーズン67例、2009年パンデミック348例、2010-11シーズン122例)。6例はインフルエンザB、5例はA(H3)、7例はpH1N1、7例はサブタイプ不明のインフルエンザAウイルス、1例はタイプ不明のインフルエンザウイルスの感染者であった。以上、2011-12インフルエンザシーズンは近年に比べて軽度で、ILIによる外来受診率や入院率、肺炎およびインフルエンザ関連死亡率が低かったことが明らかになった。
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