ホームIMICライブラリMMWR抄訳2011年(Vol.60)臓器移植における導管としての保存血管の利用を介する・・・
2011/02/18Vol. 60 / No. 6
MMWR60(6)172-174
Potential Transmission of Viral Hepatitis Through Use of Stored Blood Vessels as Conduits in Organ Transplantation - Pennsylvania, 2009
臓器移植の際、死亡したドナーの血管を移植した臓器の血管とレシピエントの血管をつなぐ導管として利用することがある。血管はすぐには使わず、保存してから使用することもあり、また、B型肝炎ウイルス(HBV)およびC型肝炎ウイルス(HCV)血清反応陽性ドナーから採取し、HBV、HCV陽性レシピエントに使用することもある。しかし、2009年5月、HCV陽性ドナーの血管がHCV陰性レシピエントに使用され、さらに2009年11月、 University of Pittsburgh Medical Center (UPMC)にて同様の事故が発覚したため、12月、CDCによる調査が行われた。2009年9月、4ヶ月前の5月、肝移植を受けた抗HCV陰性例に対し、抗HCV陽性ドナーの血管を使用し、レシピエントがHCVに感染した。これを受けてUnited Network for Organ Sharing (UNOS)はすべての移植施設に対し2006年5月~2008年5月に行われた移植について再調査するよう要求した結果、UPMCにて2008年5月 21日に65歳の女性に対し行われた腎臓移植と2009年10月21日に64歳の男性に対し行われた生体腎臓移植において、それぞれ抗HBV、HCV陽性ドナーの血管が使用され、レシピエントでの感染が確認された。UPMCでは血管は採取後、無菌状態で保存されている。ドナーシートには血液型(ABO)と肝炎の血清反応が明記されていたが、2件の事故の際、肝炎陽性ドナーと陰性ドナーの血管が並んで保存されており、外科医が使用する際、血液型のみ確認し、血清反応については見落としていたことが判明した。2008年1月1日~2009年12月31日、UPMCにて保存されていた血管では、 2/331(0.6%)のみが陽性、関連病院では6/64(9.4%)のみが陽性であり、UNOSによるアメリカ全体での調査では14,144血管のうち、367(2.6%)がHCV抗体反応陽性または不明、30(0.2%)がHBV表面抗体(HBsAg)陽性または不明、644(4.6%)がHBVコア抗体(HBcAg)陽性または不明であった。このためCDCは移植施設に対し、臓器移植の際に肝炎ウイルス検査結果の確認を徹底するよう勧告を出した。
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