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MMWR抄訳

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2010/12/24Vol. 59 / No. 50

MMWR59(50):1642-1646
Transmission of Multidrug-Resistant Escherichia coliThrough Kidney Transplantation - California and Texas, 2009

腎移植を介した多剤耐性Escherichia coliの伝播-カリフォルニアとテキサス、2009年

2009 年7月6日、Organ Procurement and Transplantation Networkは移植された腎の関与が疑われるEscherichia coli感染症の報告を受けた。まずカリフォルニア州のある移植施設(TCA)がE. coliによる尿路感染症と敗血症を発症した腎移植レシピエントを報告した。その後、テキサス州の移植施設(TCB)は同じドナーの腎を移植したレシピエントがE. coliによる腎周囲膿瘍を発症したと報告した。2009年10月30日、Texas Department of State Health Servicesはこの移植関連E. coli伝播を調査して今後の伝播防止のための勧告を作成するため、CDCに支援を要請した。この報告は、共通する臓器ドナーと左腎・右腎レシピエントの臨床経過をまとめたものである。共通ドナーはクモ膜下出血後に脳死状態となった56歳女性で、ある臓器調達機関(OPO A)が臓器の管理を行った。臓器摘出5日前(脳死となる3日前)にドナーはE. coliによる尿路感染症を発症したが、抗菌薬の投与により臓器摘出2日前に尿検査所見は改善した。この検査結果を受けてOPO Aはドナーの尿の培養検査を依頼し、臓器摘出2日後に多剤耐性E. coli陽性という報告を受けた。TCAで左腎の移植を受けた64歳女性症例は移植26日後に発熱と悪寒が発現し、動脈吻合部の仮性動脈瘤と診断され、移植28日後に腎摘出術を行った。腎摘出2日後の尿培養で多剤耐性E. coliが検出された。左腎の調達と輸送に協力していた別のOPO(OPO B)は臓器潅流液の培養検査を行い、臓器移植3日後に多剤耐性E. coliを検出していた。一方、TCBで右腎の移植を受けた47歳女性症例は移植1週間後に腹痛とクレアチニン上昇が発現し、超音波検査とシンチグラフィーの所見は急性腎尿細管壊死を示した。同日、臓器潅流液の培養で多剤耐性E. coliの増殖を認めた。抗菌薬の投与を行ったが、その後腎周囲膿瘍を発症し、移植後20日目に腎摘出術を行った。これら2例のE. coli分離菌は同じ抗菌薬感受性プロファイルを示し、分子タイピングはドナーの尿中から分離されたE. coli株と一致した。両レシピエントとも腎摘出後生存中である。OPO AとOPO Bで確認された多剤耐性E. coliの培養結果は、両レシピエントの診療記録に記載されていなかった。細菌感染症を有するドナー由来臓器の移植は管理可能だが、レシピエントの治療に適切な抗菌薬を使用し感染臓器の合併症を避けるため、移植チームはドナーの全ての検査結果を知る必要がある。臓器移植の安全性を改善するため、各OPOは移植施設にドナー関連情報(臓器移植後に有用となる情報を含めて)を確実、適時、正確に伝達するためのプロトコールを確立するべきである。

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