ホームIMICライブラリMMWR抄訳2010年(Vol.59)メタロ-β-ラクタマーゼを産生する Enterob・・・
2010/06/25Vol. 59 / No. 24
MMWR59(24):750
Detection of EnterobacteriaceaeIsolates Carrying Metallo-Beta-Lactamase - United States, 2010
2010年1月~6月、アメリカの3州のCDC抗菌薬感受性研究所において新たな耐性化機序であるNew Delhi メタロ-β-ラクタマーゼ(NDM-1)を産生するEnterobacteriaceae(腸内細菌科)の分離菌3株が同定された。これは、アメリカにおけるNDM-1およびEnterobacteriaceaeにおけるメタロ-β-ラクタマーゼ産生に関する初めての報告である。これら分離菌株(Escherichia coli、Klebsiella pneumoniae、Enterobacter cloacae)はアズトレオナム(モノバクタム系抗菌薬)以外の全てのβ-ラクタム系薬剤に対する耐性を与える blaNDM-1を有し、3株ともおそらく別の機序によりアズトレオナムに耐性を示した。これら細菌が増加しているイギリスではblaNDM-1を有するEnterobacteriaceaeの保有はインドとパキスタンでの医療経験と密接に関連しているが、アメリカで同定された3株も最近インドで医療行為を受けた患者由来であった。またこれら3株全てがカルバペネムに耐性を示した。医師はインドやパキスタンで医療行為を受けた患者におけるNDM-1産生Enterobacteriaceaeの可能性に注意し、カルバペネム耐性Enterobacteriaceaeが同定された場合は、特にこの危険因子について検査する必要がある。またカルバペネム耐性Enterobacteriaceaeに関する現在のCDCの感染制御ガイドライン(コロニー形成あるいは感染症患者の接触予防対策、他のハイリスク患者のサーベイランスなど)はNDM-1産生株にも適応可能であるため、NDM-1産生株が同定された場合にはその伝播を防ぐためにガイドラインで示されている介入を実施するべきである。CDCはNDM-1産生Enterobacteriaceaeの特徴をさらに検討するため、6ヶ月以内にインドやパキスタンで医療行為を受けた患者より分離されたカルバペネム耐性株を州の公衆衛生研究所を通してCDCに送るよう要求している。
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