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ホームIMICライブラリMMWR抄訳2010年(Vol.59)ヒト狂犬病の推定的不稔感染-テキサス州、2009年

MMWR抄訳

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2010/02/26Vol. 59 / No. 7

MMWR59(7):185-190
Presumptive Abortive Human Rabies - Texas, 2009

ヒト狂犬病の推定的不稔感染-テキサス州、2009年

狂犬病は重篤な人畜感染症であり、文書で十分に立証された回復例は全世界で6例しかなく、うち5例は感染前に予防接種を受けていた。1例は予防接種を受けておらず、長期にわたる集中強化治療を受け生存している。本報ではコウモリへの曝露により狂犬病を発症した思春期齢症例の臨床経過を報告する。2009年2 月25日、17歳の女性が激しい前頭部の頭痛、輝所恐怖症、嘔吐、頸部痛、めまい、顔面および前腕の知覚異常のため地域病院の救急外来を受診した。頭痛は約2週間前に発現、入院時の検査では断続的な失見当識障害、頸部硬直および発熱(38.9℃)を認め、セフトリアキソン、デキサメタゾンの投与により回復、3日後に退院した。3月6日に頭痛が再発し別の病院を受診、MRIにて頭部側脳室の拡大を認め、腰椎穿刺(LP)では蛋白濃度:160mg/dL、白血球:185/mm3、赤血球:1/mm3(95%リンパ球、5%マクロファージ)となり、三次医療小児病院へ搬送された。この時点では感染性脳炎の疑いでアシクロビル、セフトリアキソン、エタンブトール、イソニアジド、ピラジナミド、リファンピシンが投与された。3月10日、頭痛が起こる約2ヶ月前にキャンプで訪れた洞窟でコウモリと接触していたことが判明、狂犬病の疑いが生じた。さらに狂犬病の予防接種を受けていないことから、翌11日にはCDCにて血清および脳脊髄液(CSF)の抗狂犬病ウイルス抗体検査、唾液のPCR検査、背頸部皮膚生検による狂犬病ウイルスRNA検査、背頸部生検の直接蛍光抗体検査による狂犬病ウイルス抗体検査が行われた。狂犬病ウイルス抗原およびRNAは検出されなかったが、血清およびCSF検体にて狂犬病ウイルス抗体陽性が認められたため、3月14日に狂犬病ワクチンとヒト狂犬病免疫グロブリン(HRIG、1,500 IU)が投与された。22日、臨床症状の回復から退院したが、29日に頭痛の再発により再び入院、LPを行う前に退院したが、4月3日に再入院、この時の LPではCSFの開口圧力高値が認められたが、LP施行後に症状は改善し退院、その後の入院はなく、外来への受診もない。家族や友人への聞き取り調査では、男友達が暴露後予防(PEP)基準を満たしたため、PEPを行ったが、その後の臨床状態については不明である。本症例は複数回入院したが、集中強化治療を受けることなく生存しており、狂犬病の不稔感染と診断された。狂犬病は曝露後の速やかなワクチンおよび免疫グロブリン投与により予防可能であるため、まず、狂犬病の可能性のあるコウモリなどへの曝露を避け、曝露した場合は迅速な治療を求めることが重要である。

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