ホームIMICライブラリMMWR抄訳2010年(Vol.59)自家製シチューに関連したJimsonweed(Da・・・
2010/02/05Vol. 59 / No. 4
MMWR59(4): 102-104
Jimsonweed Poisoning Associated with a Homemade Stew - Maryland, 2008
2008 年7月9日の早朝、1家族6例(38~80歳)が約3~4時間続く幻覚、錯乱、散瞳、頻脈を主訴としてメリーランド州のある救急診療部を受診した。これら 6例は約4~5時間前(7月8日、午後9時頃)に自家製シチューとパンを食べており、その後の調査で jimsonweed(Datura stramonium)による抗コリン作用性中毒と診断された。この報告は、この中毒事例の概要とMontgomery County Department of Health and Human Services(MCDHHS)およびMaryland Department of Health and Mental Hygiene(MDHMH)が行った調査結果をまとめたものである。受診時6例中2例は意識消失状態であり、他の4例は精神状態の変化がみられたため食物摂取歴は完全には聴取できなかった。中毒管理センターに照会したところ、その症状は抗コリン作用性中毒と一致していることが明らかになった。全例が入院して心モニタリングをしながら支持療法を受け、4例は激越抑制のためロラゼパムを投与された。その後6例とも精神状態は改善し、退院時(入院3~5日目) までに正常となった。2009年7月9日にMCDHHSとMDHMH、7月10日に公衆衛生研究者と園芸専門家が調査を開始した。シチュー調理者は具材としてジャガイモとニンニク、玉ねぎ、トマト、カレーパウダーの他に庭に生えていた2種類の植物(1種類はミント、1種類は不明)を入れたと報告し、残りのシチューの中と台所のごみ箱、庭でjimsonweedが発見された。Maryland Department of Agriculture Laboratoryの検査では残りのシチュー内にアトロピンとスコポラミンが検出され、最終的にjimsonweedを原因とした食中毒による精神状態変化と診断された。jimsonweedはベラドンナアルカロイドを含むため抗コリン作用性毒性を引き起こす可能性がある。jimsonweed中毒の報告例は幻覚効果を目的として使用した青少年・若年成人がほとんどであるが、健康管理者と公衆衛生局は様々な年齢層でその中毒が発生する可能性があることを意識し、抗コリン作用性毒性の食品関連アウトブレイクの原因としてjimsonweed中毒も考慮する必要がある。またjimsonweed中毒の迅速診断には、園芸専門家や中毒管理センターなどの協力が有用である。
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