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MMWR抄訳

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2010/01/29Vol. 59 / No. 3

MMWR59(3):65-69
Bacterial Meningitis After Intrapartum Spinal Anesthesia - New York and Ohio, 2008-2009

分娩時脊髄麻酔後の細菌性髄膜炎-ニューヨーク、オハイオ州、2008~2009年

2007 年6月、Healthcare Infection Control Practices Advisory Committee(HICPAC)は、脊髄を処置する場合は感染防止のため外科用マスクを着用するよう勧告を出しているが、分娩後に細菌性髄膜炎を来した女性3例がニューヨーク州保健局に、同様の症例2例がオハイオ州保健局に報告された。ニューヨーク州では、2008年9月、脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔にて出産した24歳女性(症例A)が、麻酔から22時間後に頭痛、背痛、硬直、悪心、嘔吐および失見当識を来した。症例Aの入院から1時間内に31歳女性 (症例B)が同じ病院に入院し、同じ麻酔医(麻酔医A)により脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔を受け出産、21時間後に頭痛、背頸部痛および悪心を来した。 PCR法により症例Aの脳脊髄液(CSF)にてS.salivariusが検出され、さらに過去6ヶ月間のレトロスペクティブレビューにより2008年7月、37歳の女性(症例C)が麻酔医Aによる麻酔を受けた約19時間後に頭痛、昏睡、錯乱および発作を来たし、 CSFにてS.salivariusが培養されていたことが確認された。症例A、Bの発症から2日後、病院と保健局による調査が行われ、麻酔医Aの鼻咽頭塗布検体にてコアグラーゼ陰性ブドウ球菌の成長が認められた。麻酔医Aは脊髄麻酔を行う際にはマスクを着用していたが、スタッフの報告では脊髄麻酔中にマスクを着用しない見舞客が室内にいることがあることから、脊髄麻酔の際にはスタッフはマスク、ガウン、無菌手袋を着用し、また、見舞客は最小限とし、入室の際は必ずマスクを着用することを強化していくこととした。オハイオ州では2009年5月、26歳女性(症例D) が脊髄麻酔下に出産し、約15時間後に発熱、悪心、重度の頭痛を来たした。症例Dの入院から3時間後、30歳女性(症例E)が入院し、同じ麻酔医(麻酔医 B)による脊髄麻酔下に出産、約13時間後に重度の頭痛、発熱、錯乱、昏睡を来たし、その後無応答となった。発症から6時間後に症例Dと同じ三次医療病院へ空輸されたが、7時間後に死亡した。症例D、EのCSFにてS.salivariusが検出され、死因はS.salivariusによる化膿性髄膜脳炎と診断された。翌日、保健局、CDCおよび病院による調査が行われ、PCR法により麻酔医Bの中咽頭、頬粘膜および舌の塗布検体にてS.salivariusが検出された。この病院では麻酔中のマスク着用が徹底しておらず、その後マスクの着用が強化された。今回の事例から、脊髄麻酔を行う場合のマスクの着用および無菌技術の厳守など、感染コントロールに関する勧告を確立する必要性が示唆された。

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