ホームIMICライブラリMMWR抄訳2009年(Vol.58)3大学キャンパスにおけるノロウイルスのアウトブレイ・・・
2009/10/09Vol. 58 / No. 39
MMWR58(39):1095-1100
Norovirus Outbreaks on Three College Campuses - California, Michigan, and Wisconsin, 2008
2008 年秋、カリフォルニア、ミシガンおよびウイスコンシン州の3つの大学においてノロウイルスのアウトブレイクが発生した。カリフォルニア州の大学(在籍者数:約32,000)では2008年10月3日、少なくとも30名以上の学生がノロウイルス感染症による消化器症状を来たし、医療機関を受診した。web の調査で回答した5,227名(全学生の16%)のうち、440名(8.4%)が症例基準を満たし、Los Angeles County Department of Public Health(LACDPH)による診断例38名と合わせて計478名(平均年齢:20.4歳、女性:64%)確認された。発症時期は9月24日10月 13日、症状は悪心(87%)、疲労感(83%)、嘔吐(78%)、胃痙攣(73%)、下痢(70%)、頭痛(61%)、身体の痛み(55%)、自覚的発熱(47%)などが平均2.4日間認められた。脱水症状のため10名(2.1%)が入院、また、提出された便検体(n=10)のうち6検体がノロウイルス陽性を示した。ミシガン州の大学(在籍者数:約3,000)では11月6日、下痢や嘔吐を訴える学生が急増、学生3,238名のうち418名 (12.9%)、教職員630名のうち33名(5.2%)が症例基準を満たし、5例から得られた便検体は全てノロウイルス陽性を示した。ウイスコンシン州の大学(在籍者数:約42,000)では11月6日、大学寮A(居住者数:約1,150)の同じ階に住む2名の学生が嘔吐、下痢、腹痛を主訴とする急性の消化器症状を発症、156名が症例基準を満たした(罹患率:2.2%)。うち寮Aの居住者は93名、他の寮:29名、女子寮:9名であり、症状は下痢 (92%)、嘔吐(88%)、胃痙攣(88%)、寒気(80%)、身体の痛み(81%)、自覚的発熱(65%)などの症状が2日間(平均)認められた。入院例はなく、5例から得られた便検体(n=5)のうち2検体がノロウイルス陽性であった。大学キャンパスは共有する生活空間が広く、ノロウイルスのアウトブレイクリスクが高い。CDCは手洗い、消毒、生活用品の共有を避けるなどの衛生面、感染例の隔離や症状がある場合は医療機関を受診し、行事やイベントへの参加を自粛するなどの注意事項を示している。
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