一般財団法人 国際医学情報センター 信頼できる医学・薬学・医療情報を適切に提供することによって健康社会に貢献します。

一般財団法人 国際医学情報センター

IMICライブラリ IMIC Library

ホームIMICライブラリMMWR抄訳2009年(Vol.58)ワクチン関連ポリオウイルスの最新情報-全世界、20・・・

MMWR抄訳

rss

2009/09/18Vol. 58 / No. 36

MMWR58(36):1002-1006
Update on Vaccine-Derived Polioviruses - Worldwide, January 2008-June 2009

ワクチン関連ポリオウイルスの最新情報-全世界、2008年1月~2009年6月

1988 年の世界保健総会における世界ポリオ根絶決議以降、野生型ポリオ(WPV)によるポリオ発症数は1988年の125ヶ国、推定35万例から2008年には 1,651例に減少し、WPV伝播が遮断されたことのない国は4ヶ国のみ(アフガニスタン、インド、ナイジェリア、パキスタン)になった。現在のWHOの計画では、経口ポリオウイルスワクチン(OPV)の使用は世界中でのWPV伝播根絶後中止する予定となっている。しかしワクチン由来ポリオウイルス (VDPV)はSabin OPV接種率の低い地域でポリオのアウトブレイクを発生させる可能性や免疫不全患者で長期間複製される可能性があるため、VDPVの発現を抑制する戦略が必要である。この報告はVDPVの特徴やウイルス学的検査法(リアルタイム逆転写PCR法)に関する最新情報と、2008年1月~2009年6月に世界で検出されたVDPVの概要について述べる。この期間中、コンゴ民主共和国とエチオピアでヒトからヒトへ感染する循環型VDPVによる2件の新たなアウトブレイクが発生した(症例数:それぞれ20例、4例)。ナイジェリアでは2005年に発生したアウトブレイクが現在も進行中であり、現時点までの累積症例数は292例となっている。またアルゼンチンと米国において新たに免疫不全患者2例(それぞれ生後15ヶ月の男児、44歳女性)が急性弛緩性麻痺(AFP) を発症し、便検体より免疫不全関連VDPVが検出された。さらにエストニア、フィンランド、イスラエルを含む11ヶ国で採取された臨床および環境検体より感染源不明のVDPVが分離された。VDPV拡大抑制のため、全ての国々はポリオワクチンの高い接種率を維持し、VDPV発見のため感度の高いポリオウイルスサーベイランスを続ける必要がある。

References

  • CDC. Progress toward interruption of wild poliovirus transmission-worldwide, 2008. MMWR 2009;58:308-12.
  • CDC. Update on vaccine-derived polioviruses. MMWR 2006;55: 1093-7.
  • CDC. Update on vaccine-derived polioviruses-worldwide, January 2006-August 2007. MMWR 2007;56:996-1001.
  • CDC. Laboratory surveillance for wild and vaccine-derived polioviruses -worldwide, January 2007-June 2008. MMWR 2008;57:967-70.
  • CDC. Laboratory surveillance for wild and vaccine-derived polioviruses -worldwide, January 2008-June 2009. MMWR 2009;58:950-4.
  • CDC. Wild poliovirus type 1 and type 3 importations-15 countries, Africa, 2008-2009. MMWR 2009;58:357-62.
  • Alexander JP, Ehresmann K, Seward J, et al. Transmission of imported vaccine-derived poliovirus in an under-vaccinated community-Minnesota, USA. J Infect Dis 2009;199:391-7.
  • Blomqvist S, Savolainen C, Laine P, et al. Characterization of a highly evolved vaccine-derived poliovirus type 3 isolated from sewage in Estonia. J Virol 2004;78:4876-83.
  • Shulman LM, Manor Y, Sofer D, et al. Neurovirulent vaccine-derived polioviruses in sewage from highly immune populations. PLoS One 2006;1:e69.
  • Kew OM, Sutter RW, de Gourville EM, Dowdle WR, Pallansch MA. Vaccine-derived polioviruses and the endgame strategy for global polio eradication. Annu Rev Microbiol 2005;59:587-635.

ページトップへ

一般財団法人 国際医学情報センター

〒160-0016 
東京都新宿区信濃町35番地 信濃町煉瓦館
TEL:03-5361-7080 (総務課)

WEBからのお問い合わせ

財団や各種サービスについてのお問い合わせ、お見積もりのご依頼、
サービスへのお申し込みはこちらをご覧ください。

お問い合わせ