ホームIMICライブラリMMWR抄訳2009年(Vol.58)インフルエンザA(H1N1)ウイルスと季節性インフ・・・
2009/08/28Vol. 58 / No. 33
MMWR58(33):918-921
Surveillance for the 2009 Pandemic Influenza A (H1N1) Virus and Seasonal Influenza Viruses - New Zealand, 2009
アメリカ、メキシコにて発生したインフルエンザA(H1N1)の2009年世界的流行(パンデミック)は、4月下旬にメキシコから帰国した高校生によってニュージーランドへ持ち込まれ、6月にはヒトからヒトへの感染も確認されている。ニュージーランドではインフルエンザ様疾患(ILI)発生率の追跡および季節性インフルエンザと2009パンデミックインフルエンザA(H1N1)の発生数を比較するため、衛生局がセンチネル一般開業医(GP)サーベイランスシステムと非センチネル研究室サーベイランスネットワークの5月3日~8月2日の毎週のデータを分析している。GPサーベイランスシステムは1991年に WHOのインフルエンザサーベイランスシステムの一部として設立され、ILI活性を10万人あたりの発生数により分類、評価している[<50/ 週:baseline、50~249/週:正常域(50~99:low、100~149:moderate、150~249:high)、 250~399:想定以上、=400:流行域]。採取された検体はWHO National Influenza Centerなどの研究室にてPCR法により分析され、A型、B型、季節性A型、季節性A(H1N1)型、季節性A(H3N2)型、2009パンデミック A(H1N1)型に分類される。5月3日~8月2日において、ILIは24地域全てより6,280件の報告があり、累積件数は10万人あたり1,518、 7月6~12日に週にて=400の流行域となり、活性が高い地域はサウスオークランド(1,308/10万)、ウエリントン(709)、サウスカンタベリー(505)などであった。発生数は6月7日まではbaselineを維持したが、その後急速に増加、7月19日の週にピーク(287/10万人)となった。年齢別では1~4歳にて最も高く(154)、1歳未満(110)、5~19歳(97)、20~34歳(96)、35~49歳(66)、50~64 歳(57)、60歳以上(23)の順であった。血清型は2009パンデミックインフルエンザA(H1N1)が最も多く332検体(63%)、次いで季節性 A:72(14%)、季節性A(H1N1):70(13%)、A(血清型不明):44(8%)、季節性A(H3N2):8、B(血清型不明):1と続き、 2009パンデミックインフルエンザA(H1N1)は6月8~14日の週は全体の14%、6月29日~7月5日の週には80%へ急激に増加していた。非センチネル研究室サーベイランスネットワークでは、この期間3,931検体報告され、2009パンデミックインフルエンザA(H1N1):2,116、 A(血清型不明):1,076、季節性A(H1N1):444、季節性A:244、季節性A(H3N2):49、B(血清型不明):2の順であり、 2009パンデミックインフルエンザA(H1N1)は6月8~14日の週は22%、6月29日~7月5日の週には66%に急増していた。隣国のオーストラリアのビクトリア州でも7月12日の週に2009パンデミックインフルエンザA(H1N1)ウイルスが87%を占めており、北半球諸国においても南半球と同様に2009パンデミックインフルエンザA(H1N1)ウイルスが優勢となることを注視している。
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