輸入ヒト狂犬病－カリフォルニア、2008年

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ホーム IMICライブラリ MMWR抄訳 2009年（Vol.58)輸入ヒト狂犬病－カリフォルニア、2008年

MMWR抄訳

2009/07/10Vol. 58 / No. 26

MMWR58(26):713－716
Imported Human Rabies － California, 2008

アメリカではヒト狂犬病はまれであり、その多くは狂犬病感染コウモリとの関連がみられるが、発展途上国ではイヌとの関連が多い。2008年3月、アメリカ入国直後のメキシコ人移民がカリフォルニア州の医療施設で輸入ヒト狂犬病と確定診断された。この報告は、本症例の概要と疫学調査所見、その後の公衆衛生的対応について述べる。2008年3月17日、最近メキシコからアメリカへ入国した16歳の男性が咽喉痛と最近飲食しなくなったことを主訴としてカリフォルニア州Santa Barbara Countyの救急診療部(ED)を受診した。EDの医師は通訳をとおして病歴を聴取した。血液・尿検査結果はBUNの上昇以外全て正常であり、咽頭炎と腹痛という診断を受け輸液後に退院したが、数時間後に悪心、嘔吐、発熱、咽喉痛を主訴として同じEDを再受診した。患者は飲み物の摂取を拒絶し、興奮行動などもみられた。ウイルス性咽頭炎、鬱病、食欲不振と診断され、脱水に対して輸液を行い退院した。しかし翌日、家で嘔吐と振戦の発現後倒れ、救急隊員が蘇生処置を行ったが死亡した。本症例は恐水症と攻撃行動がみられたこと、ED受診前日にメキシコのイヌ狂犬病が動物風土病となっている地域から入国したことから、病因として狂犬病の可能性があると考えた。Santa Barbara Countyの公衆衛生局とメキシコの保健所が患者の家族や友人に狂犬病曝露の可能性についてインタビューした結果、患者は2007年12月にメキシコの Oaxacaでイヌとキツネに咬まれており、キツネ咬傷後に狂犬病曝露後予防(PEP)を受けていなかったことが明らかになった。剖検由来脳組織からは、メキシコのコウモリ(Tadarida brasiliensis)で検出されたウイルスに関連した狂犬病ウイルスが分離された。疫学調査は患者がビザなし移民であること、アメリカ入国前にメキシコ内を長期間移動していること、言語・文化的バリアなどのため複雑をきわめた。患者と接触した可能性のある家族16名を含む全20名にPEPを行った。この事例は、輸入ヒト狂犬病患者の診断および疫学調査の難しさと、多国間で協調した公衆衛生的対応の重要性を強調する。

References

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