ホームIMICライブラリMMWR抄訳2009年(Vol.58)豚インフルエンザウイルス感染症のアウトブレイク-メ・・・
2009/05/08Vol. 58 / No. 17
MMWR58(17):467-470
Outbreak of Swine-Origin Influenza A (H1N1) Virus Infection - Mexico, March-April 2009
2009 年3月および4月上旬、メキシコでは呼吸器疾患のアウトブレイクが発生し、インフルエンザ様疾患(ILI)を呈する患者が急増した。4月12日、 General Directorate of Epidemiology (DGE)はベラクルス州でのILIアウトブレイクを国際保健条例に従いPan American Health Organization(PAHO)に報告、17日にはオアハカ州にて非定型肺炎症例が発生、23日には呼吸器疾患の数例が豚インフルエンザ A(H1N1)ウイルス(S-OIV)感染であると確認され、PAHOに報告された。4月17日、DGEは呼吸器疾患の報告例の増加を受け、全てのインフルエンザのモニタリングユニットおよび病院に対し、疫学的アラートを発行し、重症呼吸器疾患例を全て報告し、発症72時間以内に呼吸器検体を採取するよう勧告した。23日、S-OIV感染が検査確認されたことから、DGEは発熱、咳、呼吸困難を伴う重症呼吸器疾患例を感染の疑いのある症例、そのうち採取された検体がインフルエンザA陽性を示す症例を感染の疑いが濃厚である症例、さらにRT-PCR法によりS-OIV陽性を示した症例を確認例と定め、3月1 日以降の症例の調査を行った。その結果、3月1日~4月30日において、疑いのある症例は計1,918例、うち濃厚例は286例、確認例は97例であり、死亡例は84例であった。情報の得られた1,069例において、入院例は755例、314例は外来または救急外来にて検査され、国内の31州全てと連邦区にて発生していた。4月30日の時点で、検査確認例は97例、死亡例は7例である。最初の症例は3月17日に発症、最新の症例は26日の発症である。97 例中73例は29日に確認されたため、現在情報収集中である。人口統計的および臨床的情報の得られている24例では、20例(83%)が入院、年齢は1歳未満から59歳、15例(62%)が女性であり、連邦区(15例、うち死亡6)、メキシコ州(7例)、ベラクルス(1例)、オアハカ(1例、死亡)にて発生していた。また、うち16例における臨床症状は発熱(15例)、咳(13例)、頻呼吸症(10例)、呼吸困難(9例)などであり、7例にて嘔吐または下痢を認め、基礎疾患は3例にて認めている。感染予防対策として4月24日、連邦区およびメキシコシティの大都市区の学校を全て閉鎖し、空港を利用する乗客へアウトブレイクの情報を与え、ILIを発症した場合はすぐに診察を受けるよう通知している。他に1)マスメディアを通じて衛生に関するメッセージを広める、2)マスクおよび手のアルコール除菌剤を配布する、3)大きな公的集会(教会、映画、サッカーの試合など)を禁止している。25日には疑いのある症例を自宅隔離とし、27日には国内全ての学校を閉鎖した。
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