ホームIMICライブラリMMWR抄訳2009年(Vol.58)最新情報:豚インフルエンザA(H1N1)感染症-カ・・・
2009/05/01Vol. 58 / No. 16
MMWR58(16):435-437
Update: Swine Influenza A (H1N1) Infections - California and Texas, April 2009
2009 年4月21日、CDCはカリフォルニア州南部で遺伝的に類似した豚インフルエンザA(H1N1)ウイルスによる感染症を発症した発熱性呼吸器疾患の小児2 例を報告した。2例とも豚との接触はなく、ヒトからヒトへの感染によって発症したと考えられた。この報告では、4月24日の時点でそれら感染者と同じ豚インフルエンザA(H1N1)ウイルスに新たに感染した6例を対象とした調査の中間結果と、メキシコでのアウトブレイクの状況、疫学調査と検査の状況について述べる。調査中の6例中3例はカリフォルニア州サンディエゴ郡、1例はインペリアル郡、2例はテキサス州グアダループ郡で報告された。サンディエゴ郡の 3例中2例は16歳女児とその54歳の父親であり、女児は4月5日に発熱、咳、頭痛、鼻漏、父親は4月6日に発熱、咳、鼻漏が発現した。2例とも自己制限疾患であり、その後回復した。父親は2008年10月に季節性インフルエンザワクチンを接種していた。インペリアル郡の1例は41歳女性であり、4月12 日に発熱、頭痛、咽喉炎、下痢、嘔吐、筋肉痛が発現した。4月15日に入院し、その後回復して22日に退院した。グアダループ群の2例は学校に通う16歳男児で、それぞれ4月10日、14日に急性呼吸器症状が発現した。CDCとCalifornia Department of Public Health、Texas Department of Health and Human Servicesは症例調査とこれら8例の接触者のモニタリング、ウイルス拡大範囲を調査するためのサーベイランスを続けている。メキシコの状況として、患者数とアウトブレイク数はメキシコ中央部からの報告が最も多いが、アウトブレイクや重度の呼吸器疾患症例はアメリカとメキシコの国境地域からも報告されている。CDCが行ったメキシコの呼吸器疾患患者由来検体の検査ではアメリカの患者と同様のブタインフルエンザA(H1N1)が確認されている。4月24 日の時点で、テキサス州患者とカリフォルニア州患者、およびカリフォルニア州の新たな感染者3例と以前の感染者2例との疫学的関連は確認されていない。全 8例中6例より採取したウイルス株について抗ウイルス薬への耐性を検査したところ、6株全てがアマンタジンとリマンタジンに耐性であったが、ザナミビルとオセルタミビルには感受性を示した。CDCは、サブタイプ分析ができないインフルエンザAウイルスはすぐにCDCに送るよう勧告している。医師は、発熱性呼吸器疾患患者で1)カリフォルニア州サンディエゴ郡、インペリアル郡、テキサス州グアダループ郡の住民あるいはそれら地域への旅行者、2)最近メキシコへ旅行した者、あるいは発熱性呼吸器疾患を発症し、発症前7日間にこれら3地域あるいはメキシコにいた患者との接触者を診察する場合、鑑別診断として季節性インフルエンザとともに豚インフルエンザも考慮する必要がある。
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