ホームIMICライブラリMMWR抄訳2009年(Vol.58)小児2名における豚インフルエンザA(H1N1)感染・・・
2009/04/24Vol. 58 / No. 15
MMWR58(15):400-402
Swine Influenza A (H1N1) Infection in Two Children - Southern California, March-April 2009
2009 年4月17日、CDCは南カリフォルニア州の隣接する2つの郡に住む2名の小児において、豚インフルエンザA(H1N1)ウイルス感染による発熱性呼吸器疾患を確認した。1例目はサンディエゴ郡に住む10歳の男児であり、3月30日より発熱、咳および嘔吐を来たした。外来を受診した際に採取された鼻咽頭塗布検体はヒトインフルエンザH1N1、H3N2、H5N1いずれも陰性であったため、CDCにて再検査され、豚インフルエンザA(H1N1)が検出された。この症例の母親は4月上旬に発熱を伴わない呼吸器症状があり、8歳の弟は2週間前に呼吸器疾患を呈し、11日に再度、咳、発熱、鼻漏などの症状が出ていたが、いずれも呼吸器検体は採取されていない。保健局は他の親類や州内および4月3日にテキサス州へ旅行した際の接触者での発症を調査している。2例目はサンディエゴ郡に隣接するインペリアル郡に住む9歳女児、3月28日に咳と発熱(40.2℃)を呈し外来を受診、アモキシシリン/クラブラン酸カリウム合剤と抗ヒスタミン薬が投与され回復している。本例は発症の約4週間前に豚も展示された農産物フェアに参加したが、豚は見ずに遊園地の方で遊んでいた。 13歳の兄は4月1日、13歳の従兄は3月25日にインフルエンザ様症状を呈していたが、検査は受けていない。4月21日の時点で、これら2例の疫学的接点は認められておらず、他の発症例も認められていない。分離されたウイルスは遺伝的に類似しており、1999年以降アメリカにおいて豚に蔓延するインフルエンザウイルスに類似する赤血球凝集素(HA)遺伝子を持つが、これら2つの遺伝子はユーラシア系豚インフルエンザウイルスと同じようにノイラミニダーゼ (NA)およびマトリックス(M)蛋白質をコードしている。アメリカおよび他の地域にて今までに豚およびヒトにて報告されているインフルエンザウイルスにはない独特の遺伝子セグメントの組み合わせをもち、また、アマンダジンおよびリマンダジン耐性を示すことから、CDCは血清型の確定ができないインフルエンザA検体の送付を各州の保健局に依頼しており、感染源に関しては2名ともに豚と接触はしていないことから、ヒトからヒトへの感染の可能性を含め、現在調査が進められている。
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