野生型ポリオウイルス伝播の遮断に向けた進展－全世界、2008年

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MMWR抄訳

2009/04/03Vol. 58 / No. 12

MMWR58(12):308－312
Progress Toward Interruption of Wild Poliovirus Transmission － Worldwide, 2008

野生型ポリオウイルス伝播の遮断に向けた進展－全世界、2008年

1998 年のGlobal Polio Eradication Initiative設立以降、ポリオ発症数は年間約350,000例から2008年には1,655例まで減少した。野生型ポリオウイルス(WPV)2型による発症例の報告は1999年10月が最後であり、土着のWPV1型、3型の伝播がみられる国は世界中で4ヶ国(アフガニスタン、インド、ナイジェリア、パキスタン)のみとなっている。この報告は野生型ポリオの発症、輸入WPVおよびワクチン関連ポリオウイルスの状況、定期予防接種率、補足的予防接種活動(SIA)、急性弛緩性麻痺(AFP)サーベイランスに関する以前の報告を更新し、2008年の世界的なポリオ根絶に向けた進行状況を述べる。根絶に向けた努力にもかかわらず、ポリオ症例は2007年の1,315例から2008年には1,655例へと26%増加した。この増加は主にナイジェリアでの発症増加が原因である(2007年:285例、2008年:801例)。2008年の国別状況として、ナイジェリアでは北部の州におけるWPV1型の再伝播がポリオフリーであった南部の州と近隣8ヶ国まで拡大した。インドでは、2005～2008年の1価経口ポリオワクチン(OPV)1型(mOPV1)の反復接種により2007～2008年には世界最高のWPV伝播率を示す北部の州でWPV1型伝播が12ヶ月以上遮断されたが、2008年中期に近傍の州から WPV1型が輸入し伝播が再開した。アフガニスタンとパキスタンでは紛争地域における小児への接近が困難となり、WPV1型・3型症例が急増している。アフリカでは、アンゴラ、チャド、コンゴ民主共和国、ニジェール、スーダン南部で輸入によるWPV伝播が12ヶ月以上持続している。2007年(最新データ)の乳児における生後12ヶ月までの3価OPV、3回接種率は全世界で82%であり、アフガニスタンとパキスタンは83%、インドは62%、ナイジェリアは61%であった。しかしこれら4ヶ国では接種率が40%未満の地域もある。2008年にSIAは36ヶ国で241回実施され、5歳未満の小児約 34,000万人にOPVが合計246,000万回接種された。また2008年のAFPサーベイランスの感度は全体的に保証標準レベルを維持していた。ポリオ根絶目標の達成には政治的な管理の強化や紛争地域での予防接種の改善などが必要である。

References

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