ホームIMICライブラリMMWR抄訳2009年(Vol.58)コクシジオイデス症の増加-カリフォルニア州、200・・・
2009/02/13Vol. 58 / No. 5
MMWR58(5):105-109
Increase in Coccidioidomycosis - California, 2000-2007
コクシジオイデス症はカリフォルニア州San Joaquin Valley、アリゾナ、ユタ、ネバダ、ニューメキシコ州の南部、テキサス州西部、メキシコおよび中央、南アメリカの一部の風土病であり、これらの地域の土壌中に生息する真菌Coccidioides immitisまたはCoccidioides posadasiiの浮遊胞子を吸入することにより感染する。アメリカでの新規感染例は年間約150,000例であり、症状はインフルエンザ様疾患 (ILI)が多く、重症肺炎を発症する場合もあるが、約60%は無症候性である。1%未満の患者は播腫性疾患を発症する。カリフォルニア州では 1991~1995年、San Joaquin Valleyにて大流行があり、1995年以降、Confidential Morbidity Reports(CMRs)を介して地域の保健局へ症例が報告されている。1995年以降の発症率は安定していたが、2000年の816例(発症率10万人あたり2.4)から2006年には2,981例(同8.0)と増加し、2007年は2,791例(同7.4)と減少した。2008年の予備調査では1月 1日から12月6日までに1,718例(2006年の同時期:2,210例、2007年:2,426例)が報告されている。2000~2007年における推定年間発症率は、年齢別では40~49歳にて最も高く(3,518例、同8.0)、性別では男性が10,909例(65%、同7.6)、女性5,848 例(同4.0)であった。また、地域別ではSan Joaquin Valley地域にて最も高く、州全体(16,970例)の76%(12,855例)がこの地域から報告され、2000年:490例(同14.7)から 2007年:2,135例(同53.9)と増加している。この地域の中でもKern郡での発症率が最も高く、この期間の平均発症率は10万人あたり 150.0、ピークは2004年の195.3であった。また、入院を要した症例は2000年:611例(同1.8)から2006年:1,587例(同 4.3)と増加、2007年には1,368例(同3.6)へ減少している。入院例は60~79歳にて最も多く(10万人あたり平均5.8)、人種/民族別では非ラテン系黒人にて最も高く、2000年:66例(同3.0)から2007年:169(同7.5)へ増加した。また、入院例の地域別ではSan Joaquin Valleyにて最も高く、2000年:230例(同6.9)、2007年:701例(同17.7)と増加、Kern郡では2000年:121例(同 18.2)から2007年:285例(同34.9)へ増加、また、州全体でこの期間コクシジオイデス症により入院した8,657例のうち、752例 (8.7%)が死亡した。CDCはコクシジオイデス症が風土病である地域周辺の住民および旅行者に対して、屋外の塵埃への曝露を出来るだけ避けるよう勧告しているが、環境的コントロールは困難であり、また、現時点では有効なワクチンもないことから、医療関係者は診断および治療の際にコクシジオイデス症の可能性を考慮することが重要である。
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