2008 年9月28日～11月29日の米国におけるインフルエンザ活性はまだ低かった。この期間中に米国のWHOおよびNational Respiratory and Enteric Virus Surveillance Systemの共同研究所で検査された気道検体24,657検体のうち365検体(1.5%)がインフルエンザウイルス陽性であった。このうち282株 (77.3%)はAウイルス、83株(22.7%)はBウイルスであった。サブタイプ分析したA型128株のうち112株(87.5%)はA(H1)、 16株(12.5%)はA(H3)であった。抗原分析では、検査した30株中20株がA(H1N1)、3株がA(H3N2)、7株がBウイルスであり、 27株は2008-09インフルエンザワクチンの成分(A/Brisbane/59/2007様(H1N1)、A/Brisbane/10/2007様 (H3N2)、B/Florida/04/2006様)と抗原性が類似していた。他のB型ウイルス3株はB/Victoria/02/87系であった。抗ウイルス薬耐性を39株で検討した結果、A(H1N1)型ウイルス25株中24株がオセルタミビル耐性、A(H1N1)型25株全てがザナミビル感受性、 A(H3N2)型ウイルス5株全てとB型ウイルス9株全てはオセルタミビルおよびザナミビル感受性であった。アダマンタン系薬剤(B型ウイルスには無効) に関しては、A(H1N1)型ウイルス全てが感受性、A(H3N2)型ウイルス全てが耐性を示した。新インフルエンザAウイルスとして、テキサス州でブタインフルエンザA(H1N1)ウイルス感染例(14歳小児)が報告された。2008年11月29日の週の州別インフルエンザ活性はプエルトリコと22州で散発的、ハワイ州で局所的と報告され、27州とワシントンDCでは活性の報告がなかった。インフルエンザ様疾患(ILI)による受診率 (0.9～1.3%)は全国基準値(2.4%)以下であった。肺炎およびインフルエンザ(P&I)による死亡者は122 Cities Mortality Reporting Systemに報告された全死亡者の6.7%を占めたが、その割合は流行閾値(7.1%)以下であった。今シーズン中、小児の検査確認インフルエンザ関連入院例はサーベイランスネットワーク(Emerging Infections Program、New Vaccine Surveillance Network)に報告されておらず、小児のインフルエンザ関連死の報告もない。