ホームIMICライブラリMMWR抄訳2008年(Vol.57)初期スクリーニングにトレポネーマ検査を用いた梅毒検・・・
2008/08/15Vol. 57 / No. 32
MMWR57(32):872-875
Syphilis Testing Algorithms Using Treponemal Tests for Initial Screening - Four Laboratories, New York City, 2005-2006
アメリカにおける梅毒の検査は、まず安価な非トレポネーマ検査による初期スクリーニングを行い、反応を示す検体に対してさらに特異性が高く、高価なトレポネーマ検査を行う方法が一般的であり、両方の検査に反応する場合に感染または感染歴があると判定される。しかし、最近、経済的な理由から大手の検査機関が自動トレポネーマ検査(自動EIAまたは免疫化学発光検査)を採用し始めたため、トレポネーマ検査が先になり、検査方法の流れが逆になってきている。この方法ではトレポネーマ検査によるスクリーニングの段階で反応する症例が確定し、次の非トレポネーマ検査では反応性を示さないケースが発生する。CDCはこれを受け、ニューヨーク市内の研究所(4ヶ所)で使用されている検査アルゴリズムおよび判定方法の検証のため、2005年10月1日~2006年12月1日、これらの研究所で検査された116,822検体の検査結果をレビューした。これらの研究所ではスクリーニング(トレポネーマEIA検査)で反応性がない検体に関しては、それ以上の検査は行っておらず、EIAに反応する検体をRPR(rapid plasma reagin)検査に供している。さらに研究所1,2ではRPR検査に反応しない検体に他のトレポネーマ検査(TP-PAまたはFTA-ABS検査)を行い、研究所3ではRPR検査に反応する検体をTP-PAまたはFTA-ABS検査に供し、研究所4ではRPR検査以上の検査は行っていない。116,822検体のうち、EIAに反応した検体は6,587(6%)であった。EIA検査に反応した6,548検体のうちRPR検査では2,884(44%)が反応、3,664(56%)は反応を示さなかった。RPR検査に反応せず、TP-PAまたはFTA-ABS検査が行われた2,512検体では、2,079(83%)が反応し、RPRに反応し、TP-PAまたはFTA-ABS検査が行われた80検体では78(98%)が反応した。また、これら4研究所のうち、検査結果の解釈を通知する研究所は1ヶ所のみで、他の3研究所は解釈なしで検査結果のみを通知していた。様々なアルゴリズムが利用されていることもあり、検査結果の解釈が混乱を来していることが示唆され、今後はさらに詳細な検査結果の分析と経済的な分析を行う必要があると考えられる。
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