ホームIMICライブラリMMWR抄訳2008年(Vol.57)高等学校における百日咳のアウトブレイクを制御するた・・・
2008/07/25Vol. 57 / No. 29
MMWR57(29):796-799
Use of Mass Tdap Vaccination to Control an Outbreak of Pertussis in a High School - Cook County, Illinois, September 2006-January 2007
小児期の予防接種で得られたBordetella Pertussisに対する免疫は減弱するため、中等学校や高等学校では周期的に百日咳のアウトブレイクが発生する可能性がある。米国では2005年に青少年と成人に対する百日咳ワクチンの追加接種が可能となり、2006年にはAdvisory Committee on Immunization Practices(ACIP)が全ての青少年と成人に破傷風トキソイド・弱毒化ジフテリアトキソイド・無細胞性百日咳ワクチン(Tdap)の追加接種を1回受けるよう勧告した。この報告では、2006年9月~2007年1月にイリノイ州の高等学校で発生した百日咳のアウトブレイクに対する戦略的制御の概要を紹介する。2006年9月6日、Cook County Department of Public Health(CCDPH)は百日咳を発症した17歳の高校生の報告を受けた。この報告を受け、CDDPHはこの高等学校における発端者と同学年の生徒の親や教師に対し百日咳様症状がみられた場合の医療機関受診と適応者へのTdapワクチン接種を勧告した。また10月31日には咳疾患のサーベイランスを開始し、百日咳以外の咳患者を除外するため咳疾患患者に受診を促した(咳除外対策)。このような努力にもかかわらず生徒のワクチン接種率は増加せず校内でのウイルス伝播が続いたため、12月5日~8日、CDDPHは校内にTdapワクチン接種クリニックを設置し、過去2年間にTd(破傷風とジフテリアトキソイド)含有ワクチンを接種していない生徒とスタッフを対象としてTdapワクチンの接種を行った。この4日間で学生1,084名(全体の26.1%)、スタッフ416名(63.9%)がワクチン接種を受け、この時点での生徒のワクチン接種率は67.4%となった。このアウトブレイクでは百日咳患者36例(生徒:33、教師:1、家族:2)が確認された。36例中4例(11.1%)は可能性例、29例(80.6%)はPCR法による確定例、3例(8.3%)は疫学的関連からの確定例であり、入院例はなかった。確定例における咳発現後診断までの期間は咳除外対策実施前が平均18.3日(1~58日)、実施後が4.6日(1~14日)であった。百日咳のリスク保有者はアウトブレイク中でもワクチン接種を受けない可能性があるため、地域の保健局はアウトブレイク制御法として咳除外対策の早期実施や現場でのTdapワクチン接種クリニックの設置を考慮する可能性がある。
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