ホームIMICライブラリMMWR抄訳2008年(Vol.57)ホテルレストランに関連するSalmonella L・・・
2008/07/18Vol. 57 / No. 28
MMWR57(28):775-779
SalmonellaLitchfield Outbreak Associated with a Hotel Restaurant - Atlantic City, New Jersey, 2007
2007年7月10日、Pennsylvania Department of HealthはNew Jersy Department of Health and Senior Survice(NJDHSS)にSalmonellaLitchfield感染患者3例が培養検査で確診されたと通知した。PulseNetデータでは5週間の間に5つの州で11例(うち3例がペンシルベニア州)に稀な血清型のサルモネラ菌が検出され、この11例がみなアトランティックシティに旅行していたことから、NJDHSSとAtrantic City Health Deaprtment(ACHD)が調査を開始した。その結果、このアウトブレイクとホテルのレストランで出されたフルーツサラダのハネデューメロンとの関連性と糧食勤務員の関与が示唆された。このホテルでは5月1日-7月19日の間に朝食7,300食、昼食1,300食、夕食2,700食を提供していたが、前出の3例の食事記録から朝食ビュッフェのフルーツサラダが原因と考えられ、12日、NJDHSS、ACHD、Atlantic County Division of Public HealthおよびCDCにより査察が行われ、朝食に出された36品が回収された。フルーツサラダの果物は地元の卸売業者から購入し、提供する前日の夜か当日の朝に6名のコックのうちの誰かがカットし、冷蔵保存され、その後20名の給仕のうちの誰かが運び、朝食ビュッフェ4時間の間、氷の上に置かれていた。検査された赤ブドウ、ハネデューメロン、カンタロープ、イチゴ、パセリ、氷、水、オレンジジュース、アイスティー、グレープフルーツジュース、カンタベリージュース、リンゴジュースからSalmonella菌は検出されなかったが、19日、12-13日に採取された給仕12名の便検体のうち7検体にてSalmonellagroup Cが検出されたことから、レストランの営業を直ちに中止とし、キッチンに残っていた他の食材を再検査するとともに、食べ残しは全て破棄処分とした。翌週、さらに2名の給仕がS.Litchfield陽性と判明、さらに1名が症例基準を満たす症状を呈した。NJDHSSはPulseNetおよびCDC Epi-Xを通じて、2007年5月1日-7月19日にアトランティックシティを訪れ、S.Litchfield感染症と診断された症例(確診例)または下痢性疾患(培養検査なし;疑診例)を検索した結果、30名(確診例26、疑診例4、レストランの客20、給仕10)が症例基準と一致した。年齢は51(13-84)歳、男15女15、ニュージャージー:12、ペンシルベニア:9、ニューヨーク:3、メリーランド:2、コロラド/コネチカット/ミシガン/オハイオ:各1であり、23例が下痢、21例が激しい腹痛、16例が発熱、8例が嘔吐、5例が血性の下痢を来していた。また、18例が治療を受け、入院は6例であった。感染源の確定のため行われた症例対照試験では、フルーツサラダとの相関が最も高く、ハネデューメロン(オッズ比(OR)=10.0、95%CI=2.1-47.7)との相関性が強く示唆された。レストラン、ホテルは食品の取り扱いについて、病気(特に下痢)の従業員を業務から外すなど、安全性の強化を徹底し、また、従業員が理解する英語以外の言語での指示や説明を行うことも重要であろう。
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