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MMWR抄訳

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2008/06/27Vol. 57 / No. 25

MMWR57(25):689-691
Elevated Serum Aluminum Levels in Hemodialysis Patients Associated with Use of Electric Pumps - Wyoming, 2007

電気ポンプ使用に関連した血液透析患者における血清中アルミニウム濃度の上昇-ワイオミング、2007年

血液透析患者においてアルミニウム毒性は骨軟化症や貧血、痴呆の原因となる。2002年以降、水分療法の改善やアルミニウム無含有リン酸結合剤の使用により血液透析患者におけるアルミニウム毒性の発現率は1%未満となった。米国では1992年以降アウトブレイク発生は報告されていない。この報告では血液透析中に血清中アルミニウム濃度の上昇が検出された10例を紹介し、その後の調査結果を示す。2007年12月21日、Wyoming Department of Healthはワイオミング州の病院(A病院)の血液透析室で治療を受けた患者における血清中アルミニウム濃度上昇の報告を受けた。A病院ではまず2007年6月、全透析患者で6ヶ月ごとに実施しているルーチンでの血清アルミニウムスクリーニングにて3例で若干の濃度上昇が検出された。その後さらに同濃度の上昇がみられたため、9月から毎月血清中アルミニウム濃度の測定を行った。12月、Wyoming Department of Healthは診療記録のレビューと環境調査を実施した。2006年6月~2008年1月に血液透析を受けた全患者の診療記録のレビューにより、2007年6月~9月に血清中アルミニウム濃度の上昇傾向が始まったことが明らかになった。2007年12月の時点でA病院にて血液透析を受けていたのは11例であった。治療期間が3ヶ月以上であった10例の血清中アルミニウム濃度は2007年10月が16~237μg/L(中央値:92μg/L)、2007年6月(そのうち7例)が6~41μg/L(中央値:26μg/L)であった。10例ともアルミニウム毒性の徴候や症状はみられなかった。A病院で治療を行っている2名の腎臓病科医(A医師、B医師)は透析処方が異なっていた(それぞれ800mL/分[4時間]、500mL/分[3.5時間])。血清中アルミニウム濃度はA医師担当6例で高く(43~237μg/L[中央値:158μg/L])、B医師担当4例で低かった(16~55μg/L[中央値:34μg/L])。患者の処方薬剤、患者自宅やA病院の水、透析器、逆浸透システムからは、アルミニウムは検出されなかった。透析用酸濃縮液は55ガロンのドラム型プラスチック製容器に貯蔵されており、2機の電気ポンプを用いて1ガロンの容器へ移された後、個々の透析器で使用されていた。55ガロン容器中の透析用酸製剤のアルミニウム濃度は8μg/L未満であったが、ポンプ通過後の濃度は123~166μg/Lであった。透析液のアルミニウム汚染原因は両ポンプと考えられたため、2007年12月26日に両ポンプを除去した。2008年1月23日の検査では、10例の血清中アルミニウム濃度はかなり低下していた(全体:9~53μg/L[中央値:20μg/L])。2008年5月にこのポンプ1機の分解調査を行ったが、アルミニウム毒性の原因は特定できなかった。A医師担当患者とB医師担当患者における血清中アルミニウム濃度の違いには、より多量の汚染透析液によるより長期間の曝露が関与していると考えた。透析液と機器の適合性を定期的に評価することの必要性が示唆された。

References

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