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MMWR抄訳

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2008/05/23Vol. 57 / No. 20

MMWR57(20):533-536
Increased Detections and Severe Neonatal Disease Associated with Coxsackievirus B1 Infection - United States, 2007

コクサッキーウイルスB1感染症の増加と重症新生児疾患-アメリカ、2007年

新生児は免疫システムが未熟であるため、エンテロウイルスにより重度の感染症を起こす可能性があり、ときに致死的となる。代表的なものに脳心筋炎(コクサッキーウイルスグループB)や出血性肝炎症候群(エコーウイルス11)などがあり、2008年2月1日現在、2007年におけるエンテロウイルス感染症514例が国内36州からNational Enterovirus Surveillance System(NESS)に報告されている。コクサッキーウイルスB1(CVB1)による症例が最も多く、血清型が明らかな444例中113例(25%)を占めており、次いでエコーウイルス18(63例、14%)、エコーウイルス9(49例、11%)、エコーウイルス6(37例、8%)と続いている。CVB1感染例のうち、年齢が明らかな95例中65例(68%)は1歳未満の乳児、うち50例(53%)は1ヶ月未満の新生児であり、報告された州は19州、カリフォルニア州(38例)とイリノイ州(28例)にて多かった。CVB1の系統分析では、全ての株が互いに近縁性を示し、コロラド州で2006年に分離された株に近いものであった。CVB1感染による死亡例は5例(カリフォルニア:2、イリノイ:1、コロラド:1、ニューメキシコ:1)、全例が多臓器疾患を呈し、うち4例は生後4日以内の発症であった。また、4/5例の母親は分娩前後に発熱性疾患または絨毛羊膜炎を発症しており、母子垂直感染の可能性が示唆される。カリフォルニア州ではロサンゼルスで2007年9月に3例(うち2例は死亡)報告され、全例エンテロウイルス陽性、2例はCVB1に感染していた。その後、症例記録からエンテロウイルス陽性を示す症例が7病院にて30例(生後1日未満~14歳、髄膜炎:22、心筋炎:12、敗血症様疾患:5、肝炎:2、凝固障害:6、呼吸困難:3)が確診され、血清型分析は19例にて行われた(CVB1:14、CVB2:2、CVB3:1、CVB4:1、エコーウイルス7および11:1)。イリノイ州シカゴでは2007年9月、CVB1感染2例が報告され、エンテロウイルス陽性を示す症例が50例(生後1日未満~8歳、心筋炎:11、呼吸困難:9、肝炎:8、凝固障害:6、無菌性髄膜炎:4、髄膜脳炎:3)が確診され、CVB1陽性例1例が死亡している。アラスカ州コツェブーでは2007年8月15日~9月11日に1ヶ月未満の乳児7例が発熱と呼吸困難、心筋炎、髄膜炎のため入院し、1例にてCVB1が検出されている。医療機関と公衆衛生局はCVB1による新生児疾患の可能性に留意し、疑わしい症例にはエンテロウイルスに対する検査とNESSへの報告を促すべきである。

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