ホームIMICライブラリMMWR抄訳2008年(Vol.57)研究室でのワクチニア曝露と感染症-アメリカ、200・・・
2008/04/18Vol. 57 / No. 15
MMWR57(15):401-403
Laboratory-Acquired Vaccinia Exposures and Infections - United States, 2005-2007
痘瘡(天然痘)は、オルトポックスウイルス属のワクチニアウイルス(VACV)を生ワクチンとして用いた世界中での予防接種キャンペーンなどの結果根絶した。米国における痘瘡ワクチンの定期予防接種は1972年に終了したが、ウイルス曝露の可能性のある研究室職員など特殊なグループに対する接種は、継続あるいは再開されている。VACVは多くの研究所で様々な研究目的で使用されているため、研究室でVACVに感染する可能性がある。現在の予防接種諮問委員会(ACIP)ガイドラインは、高度弱毒化されていないVACV株を感染させた培地や動物を直接取り扱う研究室職員に対し少なくとも10年ごとのVACVワクチン接種を勧告している。この報告では2005~2007年にCDCに報告された研究室でのVACV感染5例を紹介する。報告された5例はそれぞれコネチカット州(2005年3月)、ペンシルベニア州(2006年10月)、アイオワ州(2007年5月)、メリーランド州(2007年8月)、ニューハンプシャー州(2007年9月)の研究室職員であり、このうち3例はVACVワクチンの接種歴がなく、1例は2回(最終接種は10年前)接種歴があり、1例は6年前に接種したが免疫獲得に失敗していた。これら5例のワクチニア株は全てWestern Reserve株であり、4例はチミジンキナーゼ遺伝子座での挿入を伴った組み換えVACV、1例は詳細不明の組み換えVACVであった。曝露の原因は針刺し事故が多く、事故発生から受診までの期間は事故当日~11日間であった。オルトポックスウイルス属を取り扱う研究室職員はACIP予防接種勧告に基づいた適切な予防接種が必要であり、研究室の安全管理や感染制御対策、曝露後の迅速な医学的対応も重要である。
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