一般財団法人 国際医学情報センター 信頼できる医学・薬学・医療情報を適切に提供することによって健康社会に貢献します。

一般財団法人 国際医学情報センター

IMICライブラリ IMIC Library

ホームIMICライブラリMMWR抄訳2008年(Vol.57)3価不活化インフルエンザワクチンの効果のシーズン内・・・

MMWR抄訳

rss

2008/04/18Vol. 57 / No. 15

MMWR57(15):393-398
Interim Within-Season Estimate of the Effectiveness of Trivalent Inactivated Influenza Vaccine - Marshfield, Wisconsin, 2007-08 Influenza Season

3価不活化インフルエンザワクチンの効果のシーズン内での暫定的推定-ウィスコンシン州マーシュフィールド、2007-08インフルエンザシーズン

臨床試験において、インフルエンザ感染症に対する不活化インフルエンザワクチンの予防効果は健常成人で70~90%と推定されている。しかしインフルエンザシーズン中の循環インフルエンザウイルス株とワクチン株が適切に一致していない場合、ワクチン接種効果は一般的に低い。循環インフルエンザウイルスの抗原的特徴をワクチン株と比較した研究データはインフルエンザシーズン中に入手できるが、ワクチン効果(VE)は通常シーズン終了数ヵ月後まで評価されない。この報告は、2007-08インフルエンザシーズン中に医学的診療を受けた検査確定インフルエンザに対する、3価不活化インフルエンザワクチンの予防効果を推定するために実施された症例対照研究の予備的結果をまとめたものである。この研究ではウィスコンシン州のマーシュフィールドの医療施設を受診した患者を対象とした。発熱、悪寒、咳を有し、鼻・鼻咽頭スワブ検体の検査(RT-PCR法)でインフルエンザ感染症と確定された患者を症例群、同様の症状を有するが検査陰性であった患者を対照群としてロジスティック回帰分析によりVEを推定した。2008年1月21日~2月8日に登録された症例は616例(症例群191例、対照群425例)であった。この登録患者をインフルエンザ関連合併症のリスクが高い(年齢、慢性疾患)ため予防接種諮問委員会(ACIP)より予防接種を勧告された群(勧告群)と5~49歳の健常小児・成人(健常群)に分けたところ、全体的なVE推定値は44%であった(勧告群:34%、健常群:54%)。またインフルエンザA感染症予防のためのVEは58%であったが、インフルエンザB感染症の予防効果はみられなかった。分離ウイルス株の抗原的特徴を検討したところ、ワクチン成分であるインフルエンザA(H1N1)、A(H3N2)、Bウイルスのうち、分離されたA(H3N2)ウイルス株の71%とBウイルス株の95%がワクチン株と一致していなかった。VEの評価は、ワクチン株と循環株の抗原的特徴に関する研究データとインフルエンザ疾患予防効果に関する臨床データを併せて解釈する必要があると考えた。

References

  • Edwards KM, DuPont WD, Westrich MK, Plummer WD, Palmer PS, Wright PF. A randomized controlled trial of cold-adapted and inactivated vaccines for the prevention of influenza A disease. J Infect Dis 1994;169:68-76.
  • Bridges CB, Thompson WW, Meltzer MI, et al. Effectiveness and cost-benefit of influenza vaccination of healthy working adults: a randomized controlled trial. JAMA 2000;284:1655-63.
  • Orenstein EW, De Serres G, Haber MJ, et al. Methodologic issues regarding the use of three observational study designs to assess influenza vaccine effectiveness. Int J Epidemiol 2007;36:623-31.
  • Thompson WW, Shay DK, Weintraub E, et al. Mortality associated with influenza and respiratory syncytial virus in the United States. JAMA 2003;289:179-86.
  • Thompson WW, Shay DK, Weintraub E, et al. Influenza-associated hospitalizations in the United States. JAMA 2004;292:1333-40.
  • CDC. Prevention and control of influenza: recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP), 2007.MMWR 2007;56(No. RR-6).
  • CDC. Update: influenza activity-United States, September 30, 2007-April 5, 2008, and composition of the 2008-09 influenza vaccine. MMWR 2008;57:404-9.
  • Nichol KL, Nordin JD, Nelson DB, Mullooly JP, Hak E. Effectiveness of influenza vaccine in the community-dwelling elderly. N Engl J Med 2007;357:1373-81.
  • Smith DJ, Lapedes AS, de Jong JC, et al. Mapping the antigenic and genetic evolution of influenza virus. Science 2004;305:371-6.
  • Russell CA, Jones TC, Barr IG, et al. The global circulation of seasonal influenza A(H3N2) viruses. Science. In press 2008.

ページトップへ

一般財団法人 国際医学情報センター

〒160-0016 
東京都新宿区信濃町35番地 信濃町煉瓦館
TEL:03-5361-7080 (総務課)

WEBからのお問い合わせ

財団や各種サービスについてのお問い合わせ、お見積もりのご依頼、
サービスへのお申し込みはこちらをご覧ください。

お問い合わせ