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MMWR抄訳

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2008/02/22Vol. 57 / No. 7

MMWR57(7):179-183
Update: Influenza Activity - United States, September 30, 2007-February 9, 2008

最新情報:インフルエンザ活性-アメリカ、2007年9月30日~2008年2月9日

この報告は2007-08年インフルエンザシーズン開始(2007年9月30日)以降のアメリカにおけるインフルエンザ活性の動向をまとめたものである。2007年9月30日‐2008年2月9日、WHOおよびNational Respiratory and Enteric Virus Surveillance System(NREVSS)研究所で検査された気道検体94,502検体中10,568検体(11%)がインフルエンザウイルス陽性であり、このうち8,889株(84%)はインフルエンザA、1,679株(16%)はインフルエンザBであった。サブタイプ分析されたインフルエンザAウイルス2,299株中1,033株(45%)はインフルエンザA(H1N1)、1,266株(55%)はインフルエンザA(H3N2)であった。インフルエンザA(H3N2)ウイルスの報告頻度は2008年1月20日‐2月9日にインフルエンザA(H1N1)よりも多くなり、2月9日の週にはH3N2がシーズン全体での優勢ウイルスとなった。2007年9月30日以降に分離されたインフルエンザウイルス250株の抗原解析を行った。A(H1N1) 117株中107株(91%)は北半球の2007-08インフルエンザワクチンおよび南半球の2008年インフルエンザワクチンのH1N1成分であるA/Solomon Islands/3/2006に類似しており、10株(9%)はA/Solomon Islands/3/2006に対する力価が低下していた。A(H3N2) 65株中9株(14%)は北半球の2007-08インフルエンザワクチンのH3N2成分であるA/Wisconsin/67/2005、53株(81%)は最近A/Wisconsin/67/2005から進化した抗原変異株であるA/Brisbane/10/2007と類似していた。A/Brisbane/10/2007は、南半球の2008年ワクチンのインフルエンザA(H3N2)成分として推奨されている。3株(5%)はA/Wisconsin/67/2005、A/Brisbane/10/2007に対する力価が低下していた。インフルエンザBの68株中4株(6%)はB/Victoria系統、64株(94%)はB/Yamagata系統であった。B/Victoria系統のB/Malaysia/2506/2004は2007-08インフルエンザワクチンのインフルエンザB成分である。2月9日の週におけるインフルエンザ様疾患(ILI)による外来受診率は5.7%であり、7週連続して全国基準値(2.2%)を上回った。州別のインフルエンザ活性レベルについては、1月5日の週に初めてコロラド州で広範囲な流行が報告されて以降、毎週その報告が増加し、2月9日の週では44州が広範囲、5州が地域的なインフルエンザ流行を報告した。また2月9日の週における122Cities Mortality Reporting Systemに報告された肺炎およびインフルエンザ(P&I)による死亡率は7.6%で、5週連続して流行閾値(7.2%)を上回った。小児における検査確認インフルエンザ関連入院率(1万人あたり)は、New Vaccine Surveillance Network(NVSN)の報告(2007年11月4日‐2008年1月26日)によると0‐4歳で0.73、Emerging Infection Program(2007年9月30日‐2008年2月2日)によると0‐4歳で1.0、5‐17歳で0.1であった。2007-08インフルエンザシーズンにおけるインフルエンザによる小児死亡は2月9日現在10例報告されている。2007-08インフルエンザシーズン中、インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼ阻害薬オセルタミビルに対する耐性率は若干増加した。検討したインフルエンザA、Bウイルス350株中16株(4.6%)がオセルタミビル耐性であり、耐性ウイルスは全てインフルエンザA(H1N1)であった。ザナミビル耐性はみられなかったが、アダマンタン(アマンタジン、リマンタジン)に対しては検討したインフルエンザAウイルス271株中87株(32%)が耐性を示し、依然として耐性率が高かった。アマンタジンは本シーズンのインフルエンザの予防・治療には推奨されない。

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