ホームIMICライブラリMMWR抄訳2008年(Vol.57)カメへの曝露に関連したヒトSalmonella感染・・・
2008/01/25Vol. 57 / No. 3
MMWR57(3):69-72
Multistate Outbreak of Human SalmonellaInfections Associated with Exposure to Turtles - United States, 2007-2008
カメおよび他の爬虫類はヒトSalmonella感染症の感染源として認識されている。カメによるヒトSalmonella感染症を防ぐため、アメリカでは小型カメ(甲羅長が4インチ未満)の販売と流通は1975年以降禁止されているが、小型カメはペットショップやインターネットウェブサイトなど様々な手段で入手されている。この報告では、2007‐2008年に発生した複数州におけるSalmonella血清型Parathyphi B L(+)tartrate(+)(SalmonellaParathyphi B Var. Java)によるヒト感染症のアウトブレイクの概要と、CDCおよび州・地域の保健衛生局が2007年10月‐2008年1月に実施した疫学調査および検査の結果を紹介する。2007年8月31日、13歳女児が5日前から続く血性下痢、腹部痙攣、発熱、嘔吐を主訴としてサウスカロライナ州の救急診療部を受診した。また、同日、15歳女児が急性腎不全と4日前から続く血性下痢、腹部痙攣、発熱、嘔吐を主訴としてノースカロライナの病院に入院した。2例はそれぞれ7、8日後に症状が改善し、13歳女児の便検体からSalmonellaParathyphi B Var. Javaが検出された。North Carolina Division of Public Health(NCDPH)とSouth Carolina Department of Health and Environmental Controlによる共同調査にて、両女児は8月24日に塩素消毒していない家族所有のプールで2匹のペットのカメ(甲羅長4インチ未満)とともに泳いでいたことが明らかになった。このカメはサウスカロライナのペットショップで最近購入されていた。カメの飼育槽より採取した水のサンプルより13歳女児由来分離菌と同じパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)パターン(XbaI)を有するSalmonellaParathyphi B Var. Java(アウトブレイク株)が検出された。10月5日、NCDPHはPulseNetを通じて複数の州の保健衛生局よりアウトブレイク株と同じXbaIパターンを有するヒトSalmonellaParathyphi B Var. Javaが分離されたという情報を得た。NCDPHは10月23日にCDCにこのカメ関連SalmonellaParathyphi B Var. Java感染症について報告し、CDCと州および地域の保健衛生局はアウトブレイクの範囲および感染源について調査を開始した。2008年1月18日現在、アウトブレイク株と同じXbaIパターンを有するSalmonellaParathyphi B Var. Java分離株の検出例が33州より103例CDCに報告されている。年齢情報が得られた100例(<1~87歳、中央値7.5歳)のうち56例(56%)は10歳以下であり、性別情報が得られた101例中52例(51%)は女性であった。発症日は2007年5月4日‐2007年12月15日で、臨床情報が得られた78例中51例(65%)は血性下痢がみられ(罹病期間中央値:7日)、入院情報が得られた80例中24例(30%)が入院した(入院期間中央値:4日)。カメへの曝露について回答した80例中47例(59%)は発症前7日間にカメに曝露していた。死亡例の報告はなかった。11月15日‐12月5日にSalmonella感染症70例を症例群、年齢と居住地域が一致した45例を対照群とした症例‐対照研究を実施した。発症前7日間のカメへの曝露率は症例群63%、対照群4%、爬虫類との接触とSalmonella感染症との関連の認識率は症例群20%、対照群29%であった。また、カメの入手先を回答した症例群42例中15例(36%)はペットショップ、10例(24%)は贈り物、8例(19%)はフリーマーケット、5例(12%)は路上販売で入手していた。小型カメの販売と流通の規制は、カメによるサルモネラ症予防のためのより効果的な公衆衛生活動である。
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