ホームIMICライブラリMMWR抄訳2008年(Vol.57)ピラクロストロビン殺菌剤による急性農薬中毒-アイオ・・・
2008/01/04Vol. 56 / No. 51& 52
MMWR56(51&52):1343-1345
Acute Pesticide Poisoning Associated with Pyraclostrobin Fungicide - Iowa, 2007
ピラクロストロビンは胴枯れ病、うどん粉病、カビ、サビ病などの菌類を駆除する農業用殺菌剤であり、接触した場合は眼や皮膚に刺激性傷害を来す。2007年7月、Iowa Department of Public Health(IDPH)にピラクロストロビンによる5つの事件が報告された。第1は7月22日、トウモロコシ畑で働いていたラテン系移住労働者27名(男性20女性7、15-74歳)が隣接する畑に農薬を散布する飛行機が的を外したためピラクロストロビンに曝露し、上気道の痛みや炎症(26例)、胸痛(20例)などを来たし、3例が悪心、1例が掻痒症、皮膚発赤、眼痛などを来した。Iowa Deparment of Agriculturee and Land Stewardship(IDALS)が23日に採取した土壌、植物サンプルおよび作業用安全メガネと帽子からピラクロストロビンが検出され、誤散布した農薬散布会社の免許を取り消す処分を行った。第2は7月20日、55歳の農薬散布用飛行機のパイロットが離陸途中に墜落し、ピラクロストロビンへの皮膚および吸入曝露による化学熱傷を来した。入院は2日間、症状は中等度と診断された。他に3件のピラクロストロビンの誤散布により5例が曝露し、54歳男性が頭痛と眼痛、40歳女性が眼痛および頭痛、49歳女性が眼痛、頭痛、めまい、20歳の男女が眼痛および結膜炎を来したが、いずれの症状も室内への移動や農場から離れることで鎮静していた。ピラクロストロビンは比較的新しい農薬(2002年発売)であり、トウモロコシ畑には2007年より使用が開始されている。毒性分類I-IVのうちIIに属し、製品には「接触した場合は眼や皮膚に刺激があり、誤飲した場合は死に至る」と表示されており、畑に散布した場合は、7日間立ち入りが禁止される。このような農薬曝露による事故を抑制するには、農場労働者の農薬の危険性に対する認識の向上と農薬散布用飛行機のパイロットに対する教育プログラムの強化が有効であると考えられる。
Copyright © 2013 International Medical Information Center. All Rights Reserved.