ホームIMICライブラリMMWR抄訳2008年(Vol.57)狂犬病の子猫に対する公衆衛生応答-4州、2007年
2008/01/04Vol. 56 / No. 51& 52
MMWR56(51&52):1337-1340
Public Health Response to a Rabid Kitten - Four States, 2007
2007年7月13-15日、サウスカロライナ州のSpatanburg郡にてAtlantic Summer Showdownソフトボール大会が開催され、複数の州から約60チームが参加した。その後、7月24日、North Carolina Division of Public Health(NCDPH)よりSouth Carolina Department of Health and Environmental Control(SCDHEC)へ、大会に参加した選手に抱かれていた狂犬病の野良猫に関する通知があった。ノースカロライナ州のチームのコーチが球場近くのゴミ箱に子猫がいるのを見つけ保護した。その日に行われた少なくとも6ゲームの会場に運ばれ、複数の女児や保護者が接触し、夕方にはコーチがノースカロライナ州Buncombe郡の自宅に車で連れ帰った。7月15日、子猫は異常行動を来たし、ぐったりと眠るようになったため、動物病院の救急外来に連れて行ったところ、重病であるとの診断から安楽死とされ、18日に火葬されることになった。この時点では狂犬病と診断されていなかったが、18日、大会中にこの子猫に噛まれた母親から「子猫は狂犬病ではなかったか」との問い合わせがあり、20日、子猫の死骸を狂犬病の検査のためNorth Carolina State Laboratory for Public Healthに送り、23日、直接蛍光抗体検査により狂犬病と診断された。これを受けて子猫との接触した可能性があるジョージア、ノースカロライナ、サウスカロライナ、テネシー州の大会参加チームに対し、州から各地域の保健所に対してメールなどによる情報提供、地域のニュースメディアを介して警告、さらにサウスカロライナ州では専用回線(2-1-1)の設置などの措置が取られ、子猫に曝露(噛まれるあるいは口や鼻の粘膜をなめられるなど唾液に接触または引っ掻かれる)した参加者(27名、サウスカロライナ:1、ノースカロライナ:15、ジョージア:11)に対して曝露後予防(PEP)が行われた。その後、ヒトでの狂犬病の発症およびPEPの副作用は報告されていない。アメリカでは狂犬病を発症する動物は1950年82.6%から、2006年7.9%に減少しているが、野良猫などによるヒトへの狂犬病感染リスクは依然としてあり、2006年には49州およびプエルトリコから狂犬病に感染した動物(アライグマ、コウモリ、スカンク、キツネなど)が計6,940件、ヒトでの感染3件が報告されている(うち318件はネコ)。また、狂犬病のネコへの曝露に対するPEPの費用も甚大であり、安易に野生動物と接触することは(特に子供)避けるべきである。
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