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MMWR抄訳

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2007/12/14Vol. 56 / No. 49

MMWR56(49):1285-1287
Outbreak of Cutaneous Larva Migrans at a Children’s Camp - Miami, Florida, 2006

チルドレンキャンプにおける皮膚幼虫移行症のアウトブレイク-フロリダ州マイアミ、2006年

2006年7月19日、Miami‐Dade County Health Department(MDCHD)に皮膚幼虫移行症(CLM)またはクリーピング病と診断された小児3例が報告された。症例はマイアミにあるキャンプ場において6月5日‐7月28日に2週間×4期実施されたキャンプに参加し、キャンプは2‐6歳を対象とした半日プログラムと5‐15歳を対象とした全日プログラムの2つに分かれ、各期、子供約300名とスタッフ約80名が参加していた。7月20日、キャンプ参加者、保護者およびスタッフにこれらの症例に関する情報が伝えられ、保護者には子供の蛇行状紅斑、痒み、膿のある病変等、感染の症状の有無が質問され、22例(子供18、スタッフ4、上記3例を含む)からCLMの症状が認められるとの報告があり、電話による詳細な調査の結果、全例が臨床的にCLMであると疑われた。発症の時期は6月20日‐8月1日、年齢は子供4(2‐6)歳、スタッフ17(16‐19)歳、症状は紅斑(100%)、掻痒性発疹(100%)、蛇行状病変(77.3%)、発疹または病変の移動(50.0%)、水疱性病変(27.3%)、膿をもつ病変(18.2%)等を示し、病変部位は臀部(68.2%)、足(45.5%)、脚(27.3%)、手(9.1%)、鼠径部(9.1%)、腹部(4.5%)であった。全例が医療機関を受診し、CLMと診断され、チアベンダゾール、メベンダゾール、アルベンダゾールまたはイベルメクチンが処方された。22例全例が2‐6歳を対象とした半日プログラムに参加し、子供は水着を着て運動場の砂場(400立方フィート、2年前に入れ替え)の近くで毎日約1時間過ごし、スタッフは半日、全日プログラムの両方に参加し、ビーチやバレーボールコートの砂に触れていた。砂場の近くでネコが目撃されていたため、調査が行われ、砂場内および周囲に動物の糞を認めたが、検体として採取しなかった。また、ビーチにはイヌが散歩していることから感染源の1つとして疑われ、さらに家でペットを飼っている(10例、45%)、発症前に他のビーチに行った(9例、41%)、他のキャンパーとタオルや洋服を共用した(4例、18%)などの可能性も考えられた。MDCHDは砂場が感染源として7月26日に再度調査したが、動物の糞は認められなかった。砂を入れ替え、野良猫2匹を屠殺し、砂場を使わない間は蓋をするよう指導し、その後9月2日までの間に新たな症例は報告されていない。CLMは鉤虫に感染した動物の糞に含まれる卵に汚染された砂や土に接触して発症し、二次感染症(Loffler症候群、好酸性腸炎)や鉤虫貧血などを合併する危険がある。CLMの予防にはイヌやネコの治療が第1であるため、飼い主は1‐2年に1回検査を受け、また、野生動物に関してはヒトの活動範囲から糞を除去することが重要である。

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