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MMWR抄訳
2007/07/27Vol. 56 / No. 29
MMWR56(29):729-732
Cryptosporidiosis Outbreaks Associated with Recreational Water Use - Five States, 2006
レクリエーションでの水の利用によるクリプトスポリジウム症の発生-5州、2006年
クリプトスポリジウム症はクリプトスポリジウム属の寄生原生動物種による胃腸疾患であり、水性の下痢が1-3週間持続する。アメリカでの年間発症数は人口10万人あたり1-2例である。汚染されたプールの水を飲んだり、汚染された食物を食べたり、あるいは感染したヒトや動物(ウシやヒツジ)との接触により、クリプトスポリジウムの卵母細胞が糞便経口感染して発症する。このクリプトスポリジウムの卵母細胞は塩素消毒抵抗性であるため、塩素消毒処理による残留塩素濃度が基準(1-3 ppm)を満たしていても、公共のプールやレクリエーション施設のプールなどの水中に数日間生存する。2006年、CDCのWaterbrone Disease and Outbreaks Surveillance Systemにはアメリカ国内で計18の発生が報告されており、ここにうち5つの発生の概要を示す。コロラド州ではダグラス郡の公共のウォーターパークで行われた誕生日パーティに参加した小児7例とその家族2例、他に2例、計11例での発症が研究室レベルで確認されている。イリノイ州ではディキャンプに参加してプールで泳いだ小児、スタッフ、ボランティアなど56例が下痢や嘔吐を来たし、うち7例が確診された。ルイジアナ州では35例での発症が確認され、ある民間のウォーターパークとの関連性が示されており、サウスカロライナ州では123例での発生が確認され(うちチャールストン地方にて88例)、複数のウォーターパーク、スイミングプール、ディケアセンターなどとの関連が示されている。また、ワイオミング州では34例での発症が確認され、公営のスイミングプールや局所リザーバーとの関連が示されている。クリプトスポリジウム症の発生を予防するには、消毒技術の改善によりクリプトスポリジウムを不活化する、下痢を来している場合はプールに入らないなど、糞便汚染のリスクを低下させる方法などが考えられる。さらに感染リスクに対する認識を高め、操作面、技術面、行動面などからの多面的アプローチが必要であろう。
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