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MMWR抄訳

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2007/06/29Vol. 56 / No. 25

MMWR56(25):625-628
Symptomatic Early Neurosyphilis Among HIV-Positive Men Who Have Sex with Men - Four Cities, United States, January 2002-June 2004

HIV陽性男性同性愛者における症候性早期神経梅毒-4都市、アメリカ、2002年1月~2004年6月

症候性早期神経梅毒は感染から12ヶ月以内に発症する梅毒の一症候であり、急性または亜急性髄膜炎、脳神経機能異常、脳血管障害による炎症性血管炎により発症する。アメリカでは1940年代後半に梅毒治療へのペニシリンの導入により消失していたが、1980年代になってHIV感染者において再び認められるようになった。CDCは過去5年間において、HIV陽性男性同性愛者(MSM)における症候性早期神経梅毒の発症が増加していることを受け、国内4都市(ロサンジェルス、サンディエゴ、シカゴ、ニューヨーク)における神経梅毒症例を対象に、症候性早期神経梅毒の臨床経過と発症リスクに関する調査を実施した。神経梅毒が疑われた症例は170例(ロサンジェルス74、ニューヨーク47、シカゴ32、サンディエゴ17)であり、うち症候性早期神経梅毒と診断されたHIV陽性男性同性愛者(MSM)は49例であった[平均年齢:38.4歳(21-50歳)、非ラテン系白人63%、非ラテン系黒人18%、ラテン系14%、その他5%]。神経症状は視覚障害25例(51%)、頭痛16例(32%)、歩行困難2(4%)、聴力損失2(4%)、髄膜腫1(2%)、精神状態異常1(2%)、不明2(4%)であり、医師による最終診断は脳神経機能障害34、髄膜炎6、髄膜血管症候群2、その他7であった。42例が入院治療を受け(入院期間:1-17日間)、47例にペニシリンが静注された。症状は治療後も数ヶ月間持続し、49例中3例に神経梅毒の再発が認められ、6ヶ月後の追跡データが得られた37例では、11例(30%)にて症状が持続していた。また、49例中40例が早期梅毒を発症し、この期間に報告された男性早期梅毒症例は4,776例、MSMは3,916例(82%)、HIV陽性は2,380例(61%)と推定されるため、早期神経梅毒患者のうち症候性早期神経梅毒を発症するリスクは1.7%(40/2,380)、6ヶ月以上症状が持続するリスクは0.5%(12/2,380)と推定された。以上、HIV感染者における梅毒発症を予防することの重要性が示唆され、脳神経機能障害や何らかの神経学的症状を認める場合には、早期神経梅毒の検査を行うべきである。

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