ホームIMICライブラリMMWR抄訳2007年(Vol.56)肺動脈高血圧症に対する静注エポプロステノールおよび・・・
2007/03/02Vol. 56 / No. 8
MMWR56(8):170-172
Bloodstream Infections Among Patients Treated with Intravenous Epoprostenol or Intravenous Treprostinil for Pulmonary Arterial Hypertension - Seven Sites, United States, 2003-2006
肺動脈高血圧症(PAH)は、高い肺動脈圧や肺血管抵抗を特徴とする生命にかかわる疾患である。血管拡張剤および抗増殖剤の働きをするプロスタノイドの持続注入は、重篤なPAH患者の治療に使用される。エポプロステノール(エポプロステノール・ナトリウム[商標名Flolan<sup®</sup] Gilead社、カリフォルニア州フォスターシティー)およびトレプロスチニル(トレプロスチニル・ナトリウム[商標名Remodulin<sup®</sup] United Therapeutics社、メリーランド州シルバースプリング)の二種類のプロスタノイドは、米国で静注(IV)が承認されており、米国の何百もの治療センターでPAH患者に投与される。2006年9月、CDCは、IVトレプロスチニルで治療したPAH患者にグラム陰性血流感染(BSIs)症例数増加の疑いがあるというPAH専門医からの報告を受けた。CDCは、2003~2006年にIVトレプロスチニルおよびIVエポプロステノール治療患者のサンプルにおけるBSIの相対的な割合を同定するために、州保健省の援助と7ヵ所のPAH治療センターの協力で遡及的調査を実施した。この報告は、その調査結果について述べ、7ヵ所の個々のPAH治療センターからの統合データに基づくBSIの統合平均率はエポプロステノールよりトレプロスチニル患者に有意に高かったことを指摘した。結果として、感染の原因はIVトレプロスチニルの内因性汚染を示すことなく、その割合の差異は二つの治療薬の調合と保管の違い、カテーテル・ケアの違い、あるいは治療薬の抗炎症作用の違い等が考えられる。PAH患者を治療する医療提供者は、これらの所見を注視する必要があり、センターで異なった感染率が見られる原因を同定し、このような差異が他のPAH治療センターにも存在するかどうかを確認するためさらに調査が必要とされる。BSIは、データ収集期間に医療記録にある臨床検査室から、または医療提供者により報告されたIVエポプロステノールあるいはIVトレプロスチニル投与患者が血液培養の結果陽性であるものと定義された。BSI率は、1,000治療日数(IVプロスタノイド投与日数)におけるBSIs症例数に基づいて計算された。IVトレプロスチニルに関しては合計51,183治療日数が7ヵ所のセンターから、IVエポプロステノールに関しては201,158治療日数が5ヵ所のセンターから報告され、合計144のBSIsが確認された(IVトレプロスチニル投与患者から57、IVエポプロステノール投与患者から87)。全体では、BSIs患者間で26の異なった病原菌(グラム陽性12、グラム陰性12、抗酸菌2)が確認された。
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