ホームIMICライブラリMMWR抄訳2007年(Vol.56)輸血による西ナイルウイルス感染-サウスダコタ州、2・・・
2007/02/02Vol. 56 / No. 4
MMWR56(4):76-79
West Nile Virus Transmission Through Blood Transfusion - South Dakota, 2006
輸血による西ナイルウイルス(WNV)感染は2002年に初めて報告され、2003年までにWNVに対する輸血の全国的スクリーニングの早期実施を促した。スクリーニング法は、6あるいは16のドナーのプールサンプルに基づくミニプール核酸増幅検査(MP-NAT)を使用して展開された。WNV検出感度を改善するために、血液採取機関(BCAs)は個別核酸増幅検査(ID-NAT)によるスクリーニングを実施し、WNV感染活動期にMP-NAT陽性の閾値に達した時に最も多く使用された。この方法は効果的であり、2003~2005年には感染の恐れがある約1,400を数える献血が発見、停止され、認定されている輸血関連イベントの減少に繋がった。2002年、合計23件のWNV輸血感染確認症例がスクリーニング実施前に報告され、2003年にはMP-NATスクリーニング実施後に6症例の推定もしくは確認症例が検出された。2004年には1例が検出され、2005年には検出されなかった。この報告は、ID-NATを使用したスクリーニング法開始以来検出された最初のWNV輸血感染症例について述べている。2006年、2名の免疫抑制患者は、輸血時MP-NAT結果が陰性にもかかわらず1感染ドナーから血液製剤を輸血した後、西ナイル神経侵襲性疾患(WNND)を発症した。感染リスクは定期的MP-NATおよびID-NATスクリーニングの結果大きく減少したが、医師は輸血によるWNV感染症が今後も発生する可能性があり、免疫抑制患者はよりWNNDを発症しやすいことに注意する必要がある。2006年9月、サウスダコタ保健省は、2006年8月に腎臓移植を受けた82歳男性末期腎臓疾患患者のWNND報告を受けた。移植手術4日後、男性は貧血のために赤血球パック(PRBC)2ユニットが輸血され、10日後に長期療養施設に移り免疫抑制療法を継続したが、21日後発熱、倦怠、切開周囲の血腫等で再入院した。患者は広域スペクトラム抗菌剤、抗真菌剤で治療されたが、再入院2日後に精神状態は急速に悪化、免疫グロブリンM(IgM)抗体捕捉酵素免疫測定法(MAC-ELISA)により血清および脳脊髄液(CSF)に抗WNV IgM抗体が検出された。長期療養施設に移送時(移植手術36日後)には、発熱もなく、精神状態は改善した。追跡調査により、WNND患者は症状発症前8週間に6つの異なったドナーから血液製剤を受けたことが明らかになった。献血時のドナーサンプルは検査に利用できなかったが、全ドナーは血清採取に同意し、抗WNV IgM検査を行なった。移植4日後、WNND患者に輸血されたPRBCの1ユニットの出所である1ドナーがIgM陽性であった。関与する血液ドナーは、2006年の感染活動期にトリ、ヒトにおける広範なWNV活性が発生したサウスダコタ州の田舎に住む男性であった。
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